第三章 団体編 女性の団体活動
JAかみふらの女性部
部長 伊藤 元子
戦後の混乱していた中にあり封建性の強い農村で世の中が大変不安定であった時、農村の婦人が社会的、経済的、文化的な進歩を図るためには、どうしたら良いかを考えていた。そんな時、私達の経済的唯一のよりどころである農業協同組合が全国的に結成された。
私達は経営の健全化を図り、さらに強化する事が農民生活の安定であると考え、昭和二十九年八月二日、婦人会有志の集まりにおいて、部落の婦人会をそのまま農協婦人部とする事とし、三十二名の準備委員が選出され、農協青年部の力強い援助をいただいて、八月二十七日準備委員会を開催した。この時、委員長を務めたのは林下フサさんであった。
九月十一日に上富良野劇場において設立総会を開催した。初代部長には準備委員長の林下フサさんがそのまま部長に選任され、厳しい生活に耐えて働く農村婦人の幸せを願い、明るい豊かな農村を築き、健康で明るい家庭を作ろうと、故石川組合長のご指導により部員を募集した結果、支部には清富、日新、草分、里仁、日の出、島津、富原、江幌、静修、旭野、江花等が参加、部員数六百余名が加入して第一歩を歩み出し、組織の充実と生活改善に取り組み厳しい試練と戦いながら、お互いに知恵を出し合い大きな輪を作ろうと立ち上がったのである。
発足と同時に、上川管内農協婦人連絡協議会及び全道農協婦人連絡協議会に加入して色々な行事に参加すると共に、自主的な行事を計画し実行した。この年は、昭和二十八年に続き冷害凶作の後をうけて、作況も良くなく冷害に続く台風により夏作物を除き収穫は激減した。
昭和三十三年、二代目部長に海江田よねさんが選ばれ、部員数も七百五十名となり、組織活動も一段と活発になり部員の親睦と和合に努力した。当時の婦人部の事業は生活改善、冠婚葬祭の簡素化、部員の加入促進、幻灯機による現地講習会、衣食住の困難な時代だったので、綿羊の飼育、羊毛の加工、クミアイマーク愛用、共同購入、クミアイ家庭薬の普及、毎月の積立貯金が主な行事で、これらを通じて農村婦人としての教養を高め、積極的に物事を進め豊かな農村環境づくりに努力した。
昭和四十五年、上富良野町農協婦人部と東中農協婦人部が合併して八百余名の大組織となった。
昭和四十九年、下部組織として若妻部会が誕生して組織化され、この年の八月二十四日には農協婦人部設立二十周年記念式を挙行し、農村婦人として新たな使命の重大さを自覚した。
昭和五十九年十二月十二日、農協婦人部設立三十周年記念式を挙行し、歴代部長伊藤カヲルさん(昭和四十六年〜五十三年)歴代本部役員松岡静子さん、田中ユキさん(勤続八年)本部役員田中春於さん、高橋勝代さん、竹内信子さん、上川ツギ子さん等に感謝状が贈呈された。
掲載省略:写真〜農協婦人部設立30周年記念式典(昭和59年12月12日)
平成六年三月十二日、農協婦人部設立四十周年記念式典が挙行され、四十年を契機として、いま一度婦人部綱領五原則を再認識し、部員一人ひとりの意思を結集し、協同の大きな力の輪の中で婦人の文化と教養を高め、社会的地位の向上を目標に積極的な実践活動に努力し、現状における問題を的確に把握して、情勢の変化に対応した活動を展開する。
時代の流れに流されるままでなく、時代のニーズに適合した女性組織の取り組みとして、組織の必要性が再確認され、平成八年三月十一日に行われた第四十二回定期総会において、長い歴史と伝統を持って親しんで来た「農協婦人部」から「農協女性部」へと名称を変更し、同時に新しいシンボルマークと時代に即した綱領、五原則を採用し女性部の歌も新しく変わった。
女性一人ひとりが組織活動を通して自ら確立し、
戸(婦人)から個(女性)へとしてのイメージ戦略を計り名称を変更した。
現在の活動状況は、農協女性部は設立四十三年目を迎え、先輩諸姉皆様の活動の積み重ねられた歴史ある組織であるが、めまぐるしく変化する農業情勢の中で、担い手の減少や高齢化など農業、農村を取り巻く環境は大きな転換期を迎えており、豊かな生活、自由な生き方の出来る現在では、部員の皆様の考え方も一つに結集することは難しく、そのような中で私達女性部の活動にも問題点が多く、部員数も七十余名と減少しており、支部単位と個人参加の両方で組織して活動をしている。
事業の内容も文化活動を中心に行っており、私達女性が希望に輝き、未来の人生に豊かさと夢を求めるためにも仲間のつながりを大切にし大きな力となって、時代のニーズに適合した女性部活動に取り組み、私達に課せられた役割を皆さんと共に果たしていきたいと思っている。
事業内容
部員研修旅行・テーブルマナー講習会・ミニバレーボール大会・社交ダンス講習会・リース講習会・家計簿講習会・自家用野菜栽培講習会・家の光料理講習会・上川農協女性部連絡協議会各種研修会・上富良野婦人団体連絡協議会各種研修会・上富良野婦人防火クラブ各種研修会・町行事参加(ラベンダー祭り、火祭り、雪祭り、日の出公園ふれあい花壇づくりなど)
歴代部長
林 下 フ サ 昭和二九〜三二年
海江田 ヨ ネ 昭和三三〜四五年
伊 藤 カヲル 昭和四六〜五三年
小 田 シゲ子 昭和五四〜五九年
手 塚 友 子 昭和六〇〜六三年
三 橋 セ ツ 平成元年〜六年
かみふらの 女性史 平成10(1998)年3月1日発行
編集兼発行者 かみふらの「女性史をつくる会」 会長 倉本 千代子