第三章 団体編 女性の団体活動
女性学級
運営委員長 羽賀 美代子
女性学級の前身である「婦人学級」の始まりは昭和四十一年。文部省のテストケースとしての補助事業と言う事で、教育委員会ではモデル地域を選定し限られた人員、定められたカリキュラムと、かなり厳しい条件の中で実施された。
その後「技術革新」「情報化」「高齢化」と言った急激な社会情勢の変化に伴い、教育の見直しと共に生涯教育の必要性が提唱され、特に婦人教育について語られるようになった事から、教育委員会では昭和四十七年に、町内全域を対象とした婦人学級を開設したが低調な出足であった。
翌四十八年度は婦人会等への呼びかけが効を奏して一挙に百八十人もの希望があり、その中で学級生の主体性、自主性が要求され、学級運営委員会を設けて学習計画、運営に携わる事になり、年間学習の集大成として文集「こてまり」を発刊し、北海タイムス紙にも紹介された。
昭和四十九年、社会教育指導主事の着任により、こてまり会活動にスポーツ、レクリェーションを導入した。
家庭婦人の余暇活用と言う事で、外に出て働く、また社会活動に参加する婦人が増え始め、それと相俟[あいま]って学習意欲も高まり、昭和五十一年度はA・Bの二クラスに分ける程になった。
昭和五十二年「本の読みきかせ」「郷土探訪」「福祉を上手に生かそう」の三グループが誕生。しかし各グループの実践活動は難しい面があり有名無実となったが、後に誕生したボランティア団体つくりの発端になった。
反面、レジャーの普及、ニーズの多様化などで年々、学習内容が充実するものの少数定着になって来た。時代の波にのって「ミセス・スクール」と改名したが馴染めず、三年間で「婦人学級」に戻った。
昭和五十七年、文集「こてまり」も第十号となり特別記念号を発行し、十年の歩みを振り返り学級の在り方について考える契機となった。
平成元年、学習の場が公民館から社会教育総合センターに移り、同年十二月上富良野町婦人団体連絡協議会の設立により加盟する。任意団体ではない事から婦人団体としての位置づけは難しく、異論もあり問題点もあったが、「同じ上富良野町の婦人としての立場で」との拡大解釈の上に立って、婦人学級「こてまり会」として加盟する事になった。
生涯学習が進められる中で、平成四年には二十年を迎え、二十周年記念誌として「こてまり」を発刊し、学級の魅力、生涯学習の意義について確認し合った。更に、教育委員会の特段の計[はから]いにより盛大な記念行事を催し、十年以上二十年の在籍者十一名に対する表彰を行い二十年の歴史にピリオドを打った。
掲載省略:写真〜平成4年3月24日 婦人学級20周年記念式
この二十年間には、学習の成果と共に地域の中においても、場を得て、その力を発揮し、すばらしい活動をしている女性達を見る事が出来る。また平成三年には、学級の運営活動において常にリーダーや核となり、共に学んで来た学級生の一人が、女性として初めて町政の場へ進出し、歴史の上に画期的な一ページを飾った事も記しておきたい。
時代の急速な変化が私達女性を取り巻いている課題をも複雑化、多様化してさまざまな情勢において大きな節目にあたる時期でもあった。「婦人学級」として長い間慣れ親しんで来たが、社会慣習や男性をも含めた意識の変革が求められている中で、二十年を機に「婦人」から「女性」へと名称を変える事が意識改革の第一歩ではないか、と話し合い、平成五年「女性学級」として新たなスタートを切った。
しかし、短年度事業と言う事もあって、年間学習計画、組織作り等運営を進めて行く上で難しい面もあり、また女性の生活周期やライフスタイルの変化に伴い、学習形態もそれに即応した取り組みが必要となった。
リサイクル問題にも逸早[いちはや]く取り組み、町民総合文化祭では支援事業の一環として、牛乳パック再生利用ではがき作りの実習会を行い、同時に手作りはがきを活用出来る絵手紙コーナーを実施する等、その実践活動の評価も得られた。
平成六年よりいしずえ大学、女性学級合同作品展示を実施、一人ひとりの自慢の作品が並べられ、展示期間中には総合センターを訪れる人達の目を楽しませている。
平成七年十月、町の資源ゴミ分別回収がようやくスタート。早速「ゴミ処理の現状と課題」と言う事で、現地の施設等を見学し、本格的に始まるゴミ問題について、今後は各家庭できちんと認識していく事が必要だと参加者一同痛感した。
また行政に対しても、女性の視点を町づくりに生かそう……と「町長と語る女性のつどい」を町、教育委員会の主催で初めて開催され、日々私達が感じている身近な問題の福祉、環境、観光など町長を囲んで懇談会が出来た事は本当に意義があった。
平成八年度、学級生の人数は一定ではないが、学習の場として求めた女性学級、それは自己成長の場でもある。学ぶ喜びを創造してゆく事が生涯学習であるならば、その過程の中でお互いの多様な価値観を認め合い、一人ひとりが目ざめ、影響し合い、どこかで結びついていくこと。それが集団学習の原点ではないだろうか。
三十年、四十年へと歩みつづける女性学級、それぞれの時代の一コマ、一コマを文集「こてまり」に託して、これからの歴史も綴ってほしいと願っている。
歴代運営委員長(こてまり会会長)
倉 本 千代子 昭和四八・九・五二・
五八年〜平成四年度
平 吹 光 代 昭和五〇年度
白 峰 弘 子 昭和五一年度 Aクラス
田 口 輝 子 昭和五一年度 Bクラス
太 田 明 代 昭和五三年度
北 川 澄 昭和五四・五五年度
久 我 みち子 昭和五六年度
上 松 桂 子 昭和五七年度
かみふらの 女性史 平成10(1998)年3月1日発行
編集兼発行者 かみふらの「女性史をつくる会」 会長 倉本 千代子