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第三章 団体編 女性の団体活動

赤十字奉仕団

委員長  佐々木 幸子

 六平[むさか]美子さんが、当時の町民課長吉田昇氏に日本赤十字奉仕団結成について相談され、同志と何度も話し合い、この方々が推進力となって発起人会を創り、関係機関のご指導をえて昭和五十七年十一月十八日、三十二名で結成総会を開き、団旗及び団章の交付を受けて赤十字原則である人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性の七つの原則と日本赤十字社の方針について道支部事業課長より講話を聞き学んだ。このようにして、赤十字の人道と博愛の精神の志を同じくして、奉仕活動を実践する人々で産声を挙げたのである。初代委員長には、六平美子さんが選ばれ、以後十年間団員の育成に努めて頂いた。
 事務所を役場町民課に置き、会議の前には必ず「奉仕団信条」を唱和し、活動の時には、日赤のバッチまたはワッペンをつけて赤十字奉仕団としての意識高揚に努め、各戸には門標もかかげている。毎年五月の赤十字月間に社員の募集と募金を各戸にお願いしている。
 災害救護活動並びに献血の推進や救急法・家庭看護法の普及など、人道的任務達成のために様々な活動をする。
 神社の清掃、草取り、招魂祭、敬老会の手伝い、昭和五十九年三月に特別養護老人ホームが完成し、以来毎年清拭[せいしき]用の布を縫い送っている。また、六十一年三月から在宅寝たきりの入浴サービス事業が始まり、月一回の協力をして現在も続いている。シーツ交換も他団体のボランティアと協力し活動している。給食サービスは昼食会に協力して年四〜五回を手づくりの料理で独居老人に喜ばれている。

掲載省略:写真〜特別養護老人ホームへ慰問(昭和61年3月12日)

 六十一年四月二十六日、中国残留孤児の富樫正義さん一家六人が、町に一時帰国し約一年間生活された時「富樫さん一家に愛の手を」と募金をしてお見舞金を差し上げることが出来て、富樫さんからは、お礼に中国料理の講習を受けて交流を深めた。
 六十一年のコロンビア火山噴火に救援金、十一月の三原山噴火の被災者に救援金、雲仙普賢岳被災者にも救援金を道日赤支部を通じて送金した。
 忘れる事の出来ないのは、十勝岳噴火に伴う救援活動で、六十三年十二月十九日頃から噴火が始まり、二十四日クリスマスイブの家族団らんの中爆発が起こり、即、緊急委員会議を開き、出動可能な地区の人達に協力を求め、避難所と本部に炊き出し給食を十二月三十日迄の四日半の間支援し、これまで経験しなかった体験となった。
 奉仕団には三大講習があり、基礎家庭看護、老人家庭看護、幼児家庭看護とその他救急看護等で技術を持つボランティア育成のための講習である。町でも全町的に呼びかけ、毎年受講しやすい十一月頃に短期と長期に分けて開講している。
 社会福祉協議会との連携も深くかかわりを持ち、各種の研修会に参加し、十月の赤い羽根共同募金運動には、封筒募金で協力している。
 平成四年十一月十八日、創立十周年記念式典を公民館大ホールで開催した。この式典を成功させる様実行委員会を結成して諸準備にあたり式典、祝賀会、手づくりの記念誌の発行と団員一同が協力しあって成し遂げた。式典では、団の活動に功績があった役員丸山美枝子・正端サト・田中春於・本間久子・廣川ミヤコ・横山房子・野口ヨシ子・吉野静代・濱村シイに感謝状を贈った。また、十年奉仕者として加藤テル子他三十九名に、日本赤十字社社長・山本正淑から感謝状を受けた。
 平成五年三月に、六平委員長は退任されたが、団員育成の功績が認められ、十一月三日文化の日に町から善行賞を授与された。その後、私が二代目委員長を引き受けて、戦後五十年の節目の平成七年十一月七日から十日迄の四日間、皇居勤労奉仕に三十五名が参加し皇居と赤坂御用地の清掃奉仕を行い、私達は割烹着姿で、天皇皇后両陛下と皇太子殿下、雅子妃殿下の前に並んで言葉をかわした。また、赤坂御用地内を散歩されていた高円宮妃殿下とお子様(二人)ともお会い出来、参加した人達は色々と心に残る思い出が出来たのではないでしょうか……。
 奥尻島の災害、阪神大震災、豊浜トンネル事故等の災害にも団員の協力を得て義援金の送付をした。
 社会福祉協議会主催のふれあい広場事業では、六百五十食分の豚汁作りとおにぎり作りをし大変良い体験をさせて項いたと思っている。
 明るい住みよい社会を築きあげていくための陰の力となって身近な奉仕に従事することを目的として、奉仕団員も全町的に入団されて、現在では百五十九名となり、社員は約三百名と年々増えてきている。
 高齢化社会に入った今は、相互扶助と自立が必要な時代で、地域のネットワークづくりと共に奉仕団の内容も変化しっつあり、今後一層新たな研修を積み重ね期待される赤十字奉仕団になりたいと活動している。

かみふらの 女性史  平成10(1998)年3月1日発行
編集兼発行者 かみふらの「女性史をつくる会」 会長  倉本 千代子