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アイスキャンデー

アイスキャンデーの製造販売は、昭和十一年の夏から山平 勇さんが十九歳のとき取り組んで始めたものである。
現中町二丁目一番二十八号の松竹パチンコ跡地は、旧高畠薬局が営業していた場所である。この店前に山平家が在り路上は街の悪ガキどもの遊び場であった。
勇さんは病弱の身であったが非常に才に富んだ人で、パチンコ店を開業してから一年後に、その製造販売も始めた。
悪ガキの一人として当時の製法を覗き見たその一端を述べてみる。
先ず太めのガラス製の試験管に着色されたキャンディーの溶液を入れ、中に割箸一本を立て、これを大きなブリキ製のバケツに入れてある割り氷に塩がまぶされた中に程よく幾本もいれる。試験管内の溶液が凍ると引き出して、更に外気を当て割箸を引き抜くと一本のアイスキャンディーの仕上がりとなる。
一本が当時五銭であったと聞くが、常に買ってナメタ記憶がないことから、ガキにとっては高いものであったかも知れぬ。
病弱の勇さんは、昭和十三年十二月に夭逝されている。享年二十一歳であった。……合掌。
(協力者−勇さんの実弟 山平昭治氏七十一歳旭川市在住)
(佐藤輝雄記)

機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉