イナキビ
食べる事が先決の時代、ソバと共に各戸に於て作付されていた。品種などは定かではないが、米の代りとして御飯に餅にと利用したもので、終戦後もある程度作られていた。比較的に稈の伸びる作物で、高刈りをし脱穀後精米所で精白するのだが余りにも少なくなるのに驚いたものだった。残った茎稈はカッターで切断し牛や馬の飼料として与えた事を覚えている。何れにしても現在はあまり作付されて居らず、たまに見ると珍しくまた懐かしく思う。古い統計資料による作付面積と十アール収量を記してみたい。
明治三十八年 八七町歩 七斗 明治四十三年 二九〇町歩 一四斗 大正 五年 一八〇町歩 九斗 大正 五年 一一四町歩 八斗 大正 十三年 一八二町歩 七斗 昭和 八年 四六町歩 九・六斗 昭和 十九年 四〇町歩 九・五斗
※一斗=18リットル
(安部彦市記)
機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉