ビール大麦
ビール大麦はイネ科の二年草。大麦のうちビールの醸造に適した種類をいう。勿論ビール麦は澱粉が多くたんばく質や脂肪の少ないもの、麦芽として利用するため、発芽率が高く大粒であることがよいと言われている。
古く日本では関東地方で多く栽培されていたが、東北、北海道へと広がり特に北海道開拓使が北欧諸国の農業経営方式に範をとり、政府も北海道発展のため特別の技術者を招聘し、ビール大麦の栽培普及に着手した。当初耕作者は主に札幌官園、各種試験機関、札幌農業学校を中心に試作試験調査が行われ、明治九年にはビール大麦とホップの処理のため、ビール醸造工場が札幌に設置されていた。従って上富良野における栽培については、町内関係機関での書物には明確なものがなく、農協担当部長(本田部長)の協力を得て資料及び聞きとり調査等を行った。
現在江花地区にお住いの松田佐市さんが大正八年に入植した時には既に日の出山崎小一郎、江花大場清七氏は耕作をしていたと言う。従って大正五年頃には栽培をしていたようである。
しかし、ビール麦の生産においては、現在も北海道では網走管内に次ぐ生産地であり、良質な麦を生産している。
又上富良野町にはビール麦耕作組合があり、その上には全道組織の北海道ビール麦耕作組合連合会があるが、古くの資料には明治四十五年に上富良野村で栽培されている記録があるようだが、これは会社による試作をしたようなもので明確な事は分からない。
(桑田輝市記)
機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉