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第十五号「かみふらの事始め物語」発刊を祝して

上富良野町長 尾岸 孝雄

「郷土をさぐる会」は、昭和五十三年に上富良野開基八十年を記念して「上富良野町郷土館」が建設されたことに、そもそものきっかけがあると聞いております。
当時この郷土館の事業として進められていた「古老の声」収集事業で、多数の貴重な歴史証言者の生の声が、録音テープに納められていました。有志によって発足した「郷土をさぐる会」の手によって、この古老の声の一部と新たな編集記事、投稿記事を加えて、昭和五十六年十月十日に「かみふらの郷土をさぐる」が創刊されたのであります。
以降、単なる記録ではなく、生活を通して記事や、老いて世を去れば消滅してしまう証言を中心に、豊富な構成の中に愛読者を引き寄せ、現在では毎年の新刊号が待望されるようになっております。
上富良野は、明治三十年の三重団体に始まる開拓の歴史を積み重ね、昨平成九年に盛大に開基百年を祝いました。今年、町の二世紀を担う産声を上げた子どもたちが、三代、四代と遡る町の歴史を、いつごろ物心を持って振り返ってもらえるかと思いを馳せたとき、「郷士をさぐる会」のこれまでの功績の意義深さをつくづくと思い知るところです。
今回貴誌第十五号において、開基百年事業に協賛して、「事始め」をテーマに失なわれゆく貴重な上富良野の歴史、人々の生活記録が、活字として記録されたことは、百年を振り返るに当たって、誠に時機を得たものと考えております。
本特集を含めた十五編の「かみふらの郷土をさぐる」が、上富良野を記す座右の銘とならんことを、また、続く発刊に大きな期待を持つところであります。
編集にたずさわった会員や、町民等協力者各位のご尽力に深く敬意を贈り、発刊に当たってのお祝いといたします。

機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉