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上富良野の気候温暖化を調べてみた

北向 一博  昭和二八(一九五三)年五月 (六十八歳)

  はじめに
 子供の頃(一九五三年生れなので小・中学生の一九六五年前後)を思い起こすと、一二月になると積雪が生活環境を冬バージョンに一変させた。
 私が住む国道沿いの所から市街地、通学先の上富良野小学校、上富良野中学校へは二キロメートルほどの道のりがあり、当時の移動手段のスーパーカー「マイ自転車」の使用も雪の猛威にかなわなくなり、通学の行き帰りは雪道を長靴で「とぼとぼ」、時には近所仲間と「わいわい」の日常だった。
 子供の頃の思い出には濃淡があって、同時に記憶に残る強弱があると、現在の高齢者と言われる年齢の瀬に至ってなお更に思うが、学校の冬休みへの期待の高まりと同時に、足元に増える積雪のうっとうしさが思い出させる。
 いつからいつまでの記憶はないが、同世代の知人の記憶と合わせると、朝六時時点の観測気温(各学校の教員住宅の観測値か?)で学校の始業時間が変わった。私の通学した上富良野小学校では、マイナス二〇℃で一時間遅れ、マイナス二五℃で二時間遅れ、更にマイナス三〇℃以下では休校になった。
 陸上自衛隊上富良野駐屯地及び上富良野演習場が一九五五(昭和三〇)年に設置され、演習場に用地を提供した旭野地区の住民が移転、転出したため、一九六二年に旭野小学校が閉校された。その後も、児童数減少による小規模校の解消のためなどで、次々と地区小学校が中心校へ統合閉校された。当時運行されていた地域の生活路線バスの充実に加えて、通学手段であるスクールバスの運行とセットになったことは言うまでもない。次第に過酷な遠距離徒歩通学はいなくなっていった。
 「気候温暖化」に興味を持ったのは、子供の頃の記憶と現在の気候が異なっているように感じ、実際にはどうなのだろうかと疑問を持ったからである。
 手始めに気候、気象、天気に関する基礎情報をWebサイトで調べてみた。私の気質である「なぜ、どうして」という探求心がもたげられ、現在の理論や定説となっていることが、半世紀前に中学校・高校で学んだ記憶と少しずつ違っていることに気付かされた。
 現在の地学、物理学の定説を振り返ることから始めるが、少し専門的(マニアック)な話もあるが、
関心がない方はそんなものかと読み跳ばしてもらいたい。
  地球誕生から生命誕生まで

 宇宙の誕生は一三八億年前のビックバンにあり、この時に創られた物質の淀みや偏りが広がり、次第に集合を繰り返して恒星がつくられた。これらの恒星の中の核融合反応で現在存在する各種元素がつくられたという。恒星には寿命があり、この末路は恒星の大きさ(質量)によって異なり、多くは物質のチリをまき散らす新星爆発を経て、白色矮星や中性子星、ブラックホールなどになるという。
 物質のチリは再度集まって恒星をつくるサイクルを繰り返す。恒星の新星爆発までの寿命はこの恒星の大きさによって変わり、太陽ほどの大きさで一〇〇億年程度、太陽の一〇倍の重さの恒星では一〇〇〇万年と急激に寿命が短縮する。現在宇宙に存在する恒星に含まれる物質は、何度もの新星爆発を経て来たものが含まれるというわけだ。
 このサイクルの一つとして、四六億年前に太陽系の元になるガスとチリが集まった。太陽を中心に円盤状に集まったチリの中から惑星の一つとして地球も誕生したという。

掲載省略:図表01 太陽系に次々と誕生した惑星(イメージ図)

 地球は誕生後も、惑星になれなかったチリや微小天体を集め続け、衝突エネルギーによって融けたマグマに覆われ非常な高温になったが、衝突の減少と共に二億年ほどかけて冷却が始まり、四四億年前になると陸地と海、そして二酸化炭素や窒素を主成分とする大気が出来た。
 この後も稀に小天体や微惑星が衝突し、衝突エネルギーが要因の地温や大気温度の上下と共に海は発達・後退を繰り返し、海水が安定して存在できるようになった四〇億年前頃に、海中の熱水噴出孔で、初めての生物(バクテリア類)が生まれたという。
 地表は冷えて行ったが、地中には溶けたマグマが存在し続け、恒星爆発や地球誕生時に作られた放射性元素が放射線を出しながら安定元素に変化する過程で、エネルギーを放出して熱源になり、地球深部の冷却速度を落とし、現在もカリウム40(半減期12.7億年)、ルビジウム87(半減期475億年)、トリウム232(半減期140 億年)、ウラン238(半減期45.0 億年)の放射崩壊エネルギーが地中の大きな熱源になっている。この熱の発生がマントルの対流や、これに伴う地殻プレート移動の原動力になっており、造山運動や火山活動、地震等を引き起こしている。

掲載省略:図表02 40億年前頃の地球想像図

 さて、気候に話を引き戻す。残されている地質的痕跡から、地球大気に酸素が増加しはじめたのは今から二三〜二〇億年前頃とされる。三五億年前にバクテリアなどの単純な生物の中に光合成をおこなうものが現れていたが、この系統から藍藻(シアノバクテリア)や植物プランクトンのような酸素発生型光合成生物が進化して繁栄、大気中にも酸素が次第に増加していった。この多くは海水中に大量に溶けていた鉄イオンと結合して酸化鉄となって分厚い沈殿層をつくり、現在の製鉄原料である鉄鉱石になったという。
 酸素の増加と共に、二一億年前頃に生命活動に酸素を利用する生物が現れたのだが、酸素濃度が減少増加を繰り返す時期がしばらく続き、そのたびに生物にも部分的な絶滅、進化も繰り返された。この後八億年前頃から酸素による生命活動を行う多細胞生物が大進化を遂げた。この頃に地球表面が全て氷点下になる全球凍結が起こった時期があるが、全ての生物は水中生活をしていたため、大規模な絶滅を逃れて生き延びるものが残った。
 全球凍結との因果関係を疑うものとして、二〇〇九年の日本の月周回衛星「かぐや」による月面観測から、八億年前頃に微小惑星が地球に大量に衝突したという研究結果が発表されている。
 五億七〇〇〇万年前の「カンブリア紀」になると、生き残った生物の中から、「カンブリア紀の生命大爆発」と呼ぶ生命進化と生物多様化が一挙に進み、この時代の代表的生物として三葉虫やアンモナイトが知られている。

  気候の変化と生物の陸上進出

 「カンブリア紀」までは、全ての生命は環境が安定していた海中で生活していたが、「シルル紀」(四億三九〇〇万年前〜四億八五〇万年前)から「デボン紀」(四億八五〇万年前〜三億六二五〇万年前)にかけて植物や節足動物、魚類から分化した両生類が、陸上に生活を移していった。同時に、海中では魚類が多様化すると共に大型化が進み大繁栄した。
 海中から陸上への進出を可能にしたのは、大気中の酸素濃度が高まったこと、大気温度の高低変動が生存に適した範囲内に安定したこと、また、生物にとっては極めて有害な太陽光に含まれる紫外線を、酸素によって形成されたオゾン層が吸収軽減するようになったことがある。更に、地球の核を形成する鉄(内核は固体鉄、外核は液体鉄)の液体鉄の対流によって磁場を発生したため、宇宙から降り注ぐ有害な宇宙線や太陽風を遮蔽する役割を果たすという、これらの複数の条件が整ったからであった。
  生物発生以降の地質年代と気候

 堆積物や化石・岩石等の資料、氷河、化石木の年輪などの考古資料を分析することによって、気候の推移が推定されている。
 地球が誕生した時には溶けたマグマで覆われていたが、地球の冷却と共に生物誕生への環境変化が起こったのだが、生物が順風で進化してきたわけではなく、地球や天体の活動による気候の変動などによって、絶滅と進化が繰り返されてきたという。現在まで、五回の生物大絶滅(図表04参照)が起こり、この他にも動植物の劇的な進化の歴史があり、この区切りが「図表03」に示す通りである。

掲載省略:図表03 地質年代区分と動植物の繁栄(Webサイト:新地学教室データから作成)

 現在私たちが使用している化石燃料(石炭・石油・天然ガス)は、主に三億年から五千万年前頃に繁栄した動植物の死骸が、幾度にもわたる大規模な天変地異により短時間で地中に埋もれた結果、地中に封入されたまま高い圧力や温度により変化してきたものである。植物や微生物の光合成等生命活動によって、大気中の二酸化炭素が樹木等有機物として変化固定したものが、化石燃料の元になったである。
 絶滅原因の中で「海洋無酸素事変」が、古生代や中生代に繰り返し起こり、最も大規模だったといわれるのが二億五二〇〇万年前のもので、地球全体が酸欠状態になり、海では数千万年間にもわたって無酸素状態が続き地球上の六八パーセント、海の生物は九六パーセントの種が絶滅したとされている。

掲載省略:図表04 主要な生物絶滅と気候変動〜健康情報誌「ヘルシスト」(株式会社ヤクルト)

 生物絶滅との関係があるものとして短周期・長周期気候変動があり、太陽活動の盛衰や太陽系の地球軌道の変化、軌道面上の地軸の傾きの変動、地表の大陸の集散離合、微惑星の衝突やマントルエネルギーによる火山・造山等地殻活動などの複合原因が、研究者の諸説として提言されている。
 「図表05」に示す通り、氷河時代と温暖期が繰り返されており、現在は約二〇〇万年前頃から始まった「第四紀氷河時代」と呼ぶ氷河時代(研究者の中には四九〇〇万年から始まる「新生代氷河時代」という説もある)にある。この氷河時代の中でも四万年と一〇万年の周期性のある氷期・間氷期(図表06)が繰り返されており、最終の氷期は約一万年前に終わって、現在は温暖な間氷期になっているという。

掲載省略:図表05 5億年の気候の寒冷・温暖変動『ウィキペディア(Wikipedia)』
掲載省略:図表06 地球の温暖化と寒冷化〜海と地球を学んじゃうコラム:海洋研究開発機構)


  人類誕生と以降の気候変動

 研究者によって様々だが、現在の人類の直系先祖の新人類(ヒト属:ホモ・サピエンス)が誕生したのは二〇万年前頃といわれており、火の使用を特徴とする新石器時代が始まった。三万五〇〇〇年前頃に絶滅したネアンデルタール人(旧人類:洞窟壁画)と共存していた時期があった。

掲載省略:図表07 人類進化系統樹〜不思議の旅行社(鞄立製作所)

 この時期は第四紀氷河時代の真っ最中であり、陸地に雪氷・氷河が広がって海水面が低下し、多くの陸地に地続き部分が発達しており、人類の人種の多様化と広域移動が進んだといわれている。一万年前に氷期から温暖な間氷期に移行すると、海水面の上昇によって陸地間の移動が制約されるようになり、定着、定住によってエジプト、インダス、メソポタミア、黄河流域等各地に文明が開化した。
 日本のこの頃は縄文時代に当たり、「図表08」に示すように、現在より気温の高い時期であったが、近年まで低下傾向で上下が続いてきている。なお、「図表08」は、気温ではなく海面温度を示したものだが、短期的な気象変動を吸収して平均的な気温を反映しているといわれる。

掲載省略:図表08 地球の気温の推移:水土の礎から(農業農村整備情報総合センターサイト)
       大きな数字・小さな数字の話

 身の回りに、大きな(小さな)数値がしばしば出てくるが、生活に身近なところでは、財政や経済規模を示す金額としての「億と兆」が最大のところだ。地球の地質年代でも「億年」の単位がでてくる。
 大きな(小さな)数値を示す方法として、指数表記(十のべき乗表記ともいう)がある。また、指数係数を接頭語で表す表記方法は身近にあり、参考まで表に示す。小さな数字では、千分の一のミリ(m)、百万分の一のマイクロ(μ)、十億分の一のナノ(n)が、新聞記事やテレビ報道等で見かける。
 この指数表記を使うと、多くの「〇(ゼロ)」を書く必要がなくなるほか、計算がしやすくなる。
 例として、一年を一ミリメートルとすると、また一年を一グラムとすると、一億年はどれくらいの長さ・重さになるか計算(かこみ参照)してみると、長さで百キロメートル(上富良野町から札幌までの直線距離)、重さで百トン(車で中型セダン百台の重さ)になる。ちなみに、一円硬貨は一グラムなので、一円硬貨で一億円は、百トンにもなる。
 現在猛威を振るっている新型コロナウイルスは、〇・一マイクロメートルなので、ウイルスが一ミリメートルになるよう拡大すると、一ミリメートルは十メートルになる。

1 年⇒ 1mm又は1g
1億年⇒ 1×10
mm(g)
    =1×10
m(s)
    =1×10
q(t)
    =100q(t)

掲載省略:表〜10の整数乗をあらわす接頭語
  気温が定まる仕組み

 気候の変動を話題に、資料を示しながら長々と説明してきたが、様々な原因で気候が変化することを、過去に遡って知ってもらうことが必要と考えたからである。
 地球誕生時のマグマに覆われた超高温の時期から、宇宙へ熱を放出して冷却しながら、水蒸気が液体化して海水として存在できるようになったのは、二億年ほどたってからだ。
 地球大気の温度は、地球外から入ってくる熱と、地球から出ていく熱が均衡した状況で決まる。この熱の出入りを模式的に示したのが「図表09」であり、地球に供給される熱のほぼ全ては太陽(太陽放射。地核やマントルからの熱供給もあるが太陽に比較して僅少で太陽の四〇〇〇分の一。図表11 地球内部温度図参照)からのもので、地球からも地球放射として熱が逃げていく。
 地球が受け取る太陽放射のエネルギーを「一〇〇」として、おおよその熱の動きを示したのが「図表10:地球のエネルギー収支(で、この熱収支の中で熱を仲介する重要な働きをするのが大気である。

掲載省略:図表09 気候変動相互作用図:気象庁
掲載省略:図表10 地球のエネルギー収支〜色と形で気象予報士!不思議の旅行社(鞄立製作所)
掲載省略:図表11 地球内部温度図

 大気は、約八〇パーセントの「窒素」と、呼吸をする動植物に必須の約二〇パーセントの「酸素」が大半の成分である。その他に微量の成分も含まれていて、もう少し詳しくはグラフ「図表12 大気の成分」に示すように〇・九三パーセントのアルゴンガスと〇・〇三パーセントの二酸化炭素、その他に何種類かの合計〇・〇一パーセントの微量成分が含まれている。
 実はこの他に、気体の水(水蒸気)が含まれるのだが、大気の温度によって含まれる限界量(図表13:水の蒸気圧参照)があり、この水蒸気の量は、主な供給元の海水温度の影響を強く受けるということだ。
 大気中の水分量は、陸地と海洋、緯度と標高など環境で大きく変動するが、〇・五〜二・〇パーセント程度といわれている。「水の蒸気圧」から、地表で一五℃、湿度五〇パーセントの大気に含まれる水蒸気は、約〇・八パーセントと計算できる。

掲載省略:図表12 大気の成分
掲載省略:図表13 水の蒸気圧
     大気の組成(現在の大気になるまで)の話

 地球形成時の初期大気の見積もりは、不確かさがあるが、現在の表面付近の水の量、地殻中の石灰岩や有機炭素の存在量をもとに計算すると、水蒸気が三〇〇気圧分、二酸化炭素が四〇〜一〇〇気圧分くらいになる。窒素は多めに見積もっても二〜三気圧分くらいにしかならない。このうち、水蒸気は温度低下で海洋を形成することで、大気からそのほとんどが除かれた。
 海洋が形成されることで、二酸化炭素がカルシウムなどの陽イオンと結びつき、石灰岩として固定され、急速に大気から除去された。おそらく、生命が誕生した頃には数気圧以下にまで低下していたものと考えられる。
 一方、長期間にわたる生物の光合成活動により、原生代以降に大気に酸素が蓄積されて、四億年くらい前には、現在とほぼ同じくらいの酸素濃度が実現されていたと考えられている。
 窒素は岩石中にも海洋中にも、取り込まれずに残った。つまり、どこにも行き場がなく、地球史を通して大気中にずっと同じくらいあったのではないかと考えられる。(「萩谷 宏のWEBサイト」から)
  気象が変化する理由

 人間が日常的に生活するのは、標高四〇〇〇メートル程度までの範囲で、太陽放射エネルギーは地面や植物、海水等の地表を暖める。太陽放射が直接大気を暖める効果は、ごく僅かだ。さらに地表が大気を暖めるのだが、海水は海流として移動して、また大気は各種気象現象として熱を運搬・拡散する。海水も大気も、温度によって比重(重さ)が変るため、高さと深さの方向へも移動(対流)して熱を運搬する。熱は、常に温度の高い方から低い方向へ移動して均質になろうとしているが、同時に地球の自転により太陽放射を受ける場所が変わることや、雲や雨などの気象条件によって地表に届く太陽放射が刻々と変化するため、熱の均質化と不均質化が同時に進行している。
 なお、中学校、高等学校で習ったと思うが、熱の移動には三原則と言われる熱伝導、対流、熱放射の三種類がある。熱伝導は物質(固体・液体・気体)が、対流は流体(液体・気体)が、熱放射は電磁波(主に赤外線)が熱を運ぶ。
 地球の自転軸が、太陽を周る軌道(公転面)から傾いている(約二三・四度)ことから、地表から見た太陽の高さが変化することによって、大きな気候変動として四季や雨季・乾季が一年周期で繰り返される。大気も、赤道付近と南北両極地間の熱の移動と地球の自転により、通年型の偏西風、偏東風、貿易風や、季節の変化と共に変化する季節風などが、定期性を持って熱を運搬する。
 海流は、海水の温度差(塩分濃度も影響)と地球の自転によって発生しているが、時速数キロメートルの表層海流と、時速三〜四メートルの深層海流がある。各表層海流(図表14)の周回は数か月から数年だが、深層海流は地球全体を流れる大循環と呼ばれ、周回には二〇〇〇年を要するといわれている。

掲載省略:図表14 地球の主な表層海流(東京都立三田高等学校Webから)

     ウンチク

 地球の直径は約一万三七〇〇q、地球を直径一mの球に見立てると、海の平均深さ(約五〇〇〇m)は〇・四o、対流圏一二qは〇・九o、宇宙と呼ぶ基準の一〇〇qは七o、宇宙ステーションの四〇〇qの高さは二九oとなる。私たちは、一mの地球の高さ一o、深さ一oの範囲内で生活している訳だ。
 これらの地球の気象要素のほかに、影響要因である太陽放射の増減、火山活動による噴出物、大規模森林火災、産業などの人為的な活動等が、周年や長期的な気温変化に影響を与えている。
 人間生活に直接影響を与える天気変化は、上空一二キロメートル前後までの対流圏内で起こり、上空へ向けて大気が薄くなる(地表の一〇分の一程度)と同時に地表からの熱放射が減少するため、一〇〇メートル高くなる毎に〇・六℃低下する。大気の中の酸素を取り入れて燃料を燃焼させて飛ぶジェット機は、酸素が少なくなって一〇キロメートル程度が飛行の限界となる。この高さでは地表より六〇℃程度気温が低いマイナス五〇℃にもなる。
 地球の表面(陸と海)と大気(約一二キロメートルまでの対流圏)の間での熱のやり取りによって、気象の変化が起こされている。

掲載省略:図表15 大気圏と宇宙〜宇宙環境利用ガイドブック(宇宙航空研究開発機構)

  大気の温室効果
 熱エネルギーを仲介する大気の働きの中で、重要な要素が「温室効果」で、太陽からの放射エネルギーを受けて大気温度として蓄積と同時に、地球表面からの放射エネルギーとして宇宙空間へ逃げていく熱を受け止めることにある。地球放射は赤外線の形で放出されるが、赤外線を吸収して熱として回収する能力を「温室効果」と呼んでいる。
 主要大気が二酸化炭素の金星では、太陽放射が大きく、かつ「温室効果」が行き過ぎため平均気温が四六〇℃にも昇り、火星では太陽までの距離が離れて太陽放射が小さいうえに、主要大気の二酸化炭素が少なく「温室効果」が小さいため平均気温はマイナス六三℃ということになっている。いかに地球が適度な「温室効果」を持っているかがわかる。ちなみに、現在の平均気温一四℃の地球の温室効果がないものとしてシュミレーションすると、マイナス一九℃になるとのことだ。
 地球を暖めている大気の「温室効果」は、種類によって大きく変わり、温室効果全体を一〇〇とすると、水蒸気が五〇、二酸化炭素が二〇で、残る三〇は微量でも強力な温室効果を持つメタンや一酸化二窒素、フッ化炭素化合物などによる作用といわれる。
 水が大きな温室効果を持つのだが、温室効果だけではなく水が持っている特殊な性質が気象現象に大きな影響を与える。液体の水は、〇℃以下で固体(氷)になり、水も氷も熱を吸収して水蒸気になる。液体・固体・気体と状態が変わる物質は、エネルギーとしての熱の出入りが伴うのだが、水は小さな分子なのに、このエネルギーの出入りが他に比較して極端に大きい。このため、水の移動とその時の相状態によって、大きな熱の交換・移動が起こり、気象に複雑な作用を及ぼすという。

掲載省略:図表16 水の相変換熱
掲載省略:図表17 主な物質の性質

 地球気象の中で、気体や固体等その状態が変化しない物質については、シュミレーションによりその相互干渉度を数量化しやすいため、条件さえ与えれば(これが後述の真鍋淑郎博士の功績)高速コンピューターによる演算によって、それなりの確かさで予測結果が得られている。
 現在はスーパーコンピュータの「富岳」等、更には量子コンピューターの登場により、従来を超えた多次元条件に対するAI(Artificial Intelligence)技術によって精度の高い予測が進められている。
 既に、気象予報・予測にはこの技術が導入されており、今後は、長周期の海洋深層流や温室効果運搬役の水の相転移の影響度などが、気候変動の問題に新たな視野を開くのではないかといわれている。
 なお、二〇二一年ノーベル物理学賞を受賞した日本出身の真鍋淑郎博士(アメリカ・プリンストン大学)の受賞理由は、気候を予測する数理モデルにおいて、一九六七年に新たに大気の流れや水蒸気の相変化のエネルギー(潜熱)などの影響を加えたモデルを開発発表し、地球温暖化を予測できる気候モデルの基礎を築いたことであった。五〇年以上前の当時は、最新のコンピュータでも現在のパソコンにも劣る能力しかない時代で、シュミレーションを演算し予測結果を出すための苦労を、テレビインタビューで語っておられたのが印象に残っている。
  近年の気温変化の問題点

 温室効果ガスが、地球温暖化の原因だと問題視されるのは、大きな温室効果を持つ水蒸気が自然由来のものである一方で、近年の温室効果ガスの増加分が人間活動によって排出されたもので、この増加と温暖化の因果関係が様々な実証により明確になってきたからである。
 水蒸気を除く大気中の、温室効果ガスビッグスリーが「二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素」で、過去一万年の変化を「図表18」に示してあるが、一九〇〇年頃以降いずれも急激に大気中の量が増加している。
 温室効果ガスの人為的な増大と気温の上昇の因果関係が、真鍋淑郎博士のモデルを基に発展させた様々な研究者から発表され、国際的な取り組みが始まることになった。

掲載省略:図表18 温室効果ガスの大気中濃度の変化(過去10,000年)
掲載省略:図表19 世界平均気温の変化
掲載省略:図表20 地球温暖化対策推進法の対象ガス〜神奈川県気候変動適応センターWEBから
  温暖化によって何が起こっている

 一九七〇年代になって、科学の進歩に伴い、地球の大気のしくみについて理解が進み、地球温暖化が深刻な問題として、科学者の間でも注目されるようになった。
 一九八五年にオーストリアのフィラハで開催された地球温暖化に関する初めての世界会議(フィラハ会議)をきっかけに、二酸化炭素による地球温暖化の問題が大きくとりあげられるようになった。
 一九八八年には、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって、地球温暖化に関する科学的側面をテーマとした政府間の検討の場として「気候 変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立された。
 「気候変動に関する国際連合枠組条約」(一九九二年採択、一九九四年発効。以下「気候変動枠組条約」という。)は、地球温暖化防止のための国際的な枠組みであり、究極的な目的として、温室効果ガスの大気中濃度を自然の生態系や人類に危険な悪影響を及ぼさない水準で安定化させることを掲げている。
 これまでに六回発表した報告書により、世界の国の政策や世論に大きな影響を与え、国連気候変動枠組条約締約国会議(コップ:COP)が中心になって、最先端の科学的・技術的知見を提供し続けている。
 最新のIPCC第六次報告書は、今年二〇二二年二月二八日に公表され、各国の政策決定に具体的反映を求めた。この報告書については各報道でも一斉に取り上げられた。翌日三月一日の北海道新聞朝刊紙面を転載する。

掲載省略:図表21 北海道新聞2022.3.1『気候変動33億人対応不可』

 環境省のホームページサイトでは「地球温暖化問題とは」として、次のように要約している。
 現在の地球は過去一四〇〇年で最も暖かくなっています。この地球規模で気温や海水温が上昇し氷河や氷床が縮小する現象、すなわち地球温暖化は、平均的な気温の上昇のみならず、異常高温(熱波)や大雨・干ばつの増加などのさまざまな気候の変化をともなっています。その影響は、早い春の訪れなどによる生物活動の変化や、水資源や農作物への影響など、自然生態系や人間社会にすでに現れています。将来、地球の気温はさらに上昇すると予想され、水、生態系、食糧、沿岸域、健康などでより深刻な影響が生じると考えられています。
 これらの地球温暖化に伴う気候の変化がもたらす様々な自然・社会・経済的影響に対して、世界各国との協力体制を構築し、解決策を見いだしていかなければなりません。これが、地球温暖化問題です。
 国では、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法:一九九八年成立)により、温暖化対策の具体的推進を定めた。温対法成立、公布以後も、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)等の国際的取り決めに沿って、随時改正を続けてきている。近いうちに、IPCC第六次報告書の公表に伴う改正も見込まれている。
  上富良野における気象観測値

一 気象観測データの入手

 温暖化の影響が、テレビや新聞、ネット情報などで盛んに取り上げられているが、上富良野での影響はどうだろうか。
 影響の有無を含めて、気象庁が発表している気象観測データから、気温と降雨・積雪に絞って近年の傾向を調べてみた。
 気象庁では、一〇年毎に、過去三〇年間の観測値の平均値を基準に、温度や降水量等の気象要素ごとに平年値として発表している。
 現在使用している平年値は、二〇二一(令和三)年三月二四日に報道発表された
・一九九一〜二〇二〇年の観測値による新しい平年値を作成。
・新平年値は、二〇二一(令和三)年五月一九日から使用。
・新平年値では現平年値と比べ、年平均気温は全国的に〇・一〜〇・五℃程度高くなる。降水量は季節によって多くの地点で一〇%程度多くなる
というものである。
 この原稿執筆時点で、過去の平年値データを気象庁ホームページでは入手できないため、財団法人気象業務支援センターからCD版の二〇一〇年平年値(一九八一〜二〇一〇)、二〇〇〇年平年値(一九七一〜二〇〇〇)を入手し、二〇二〇年平年値との比較を行った。ただし、上富良野・富良野・旭川の気象統計開始が一九七九年からなので、二〇〇〇年平年値は一九七九〜二〇〇〇年の観測値が基礎となっている。
 一九七九年以降の毎日観測値は、気象庁ホームページから入手できたのでこれを使用した。
二 二〇二〇年平年値データ

図表22 2020年(1990〜2020)気温平年値
 入手したデータをグラフ化して、気象の傾向をさぐってみることにした。
 上富良野町の最新の二〇二〇年平年値から、日ごとの平均・最高・最低気温をグラフにしたのが「図表22」だ。
 平均・最高・最低温度とも、一月二〇日頃に谷、七月二五日頃に山を持つ年間サイクルになっている。太陽の高さが低く、日照時間が短い一二月下旬の冬至に熱源になる太陽放射量が最低、また、太陽が高く、日照時間が長い六月下旬の夏至には太陽放射量が最大になるのだが、気温の最低と最高の期日は約一か月遅れてやってくる。
 大気は、太陽放射が直接温めるのは少なく、地表や海水などを温めて、ここから対流・伝導・赤外線放射などにより伝わり暖められる。温まった地表や海水面では、一定の深さまで熱が伝わって蓄積されるが、この蓄積の最大値の時期がずれるのだが、これに加えて大気が温まるのには時間がかかるという理由による。同じく太陽放射が減少する冬には、地表や海水面から温度が下がるが、深い所まで蓄積された熱が表面に向けて流れる時間差が発生する。
 一日のうちでも、太陽高度が高く、太陽放射量が最大の正午から遅れて、午後二時前後に最高気温になることも同じ理由になる。
 世界には、乾季と雨季だけの気候のところもあるが、日本では、北海道から沖縄県まで春夏秋冬の四季がある気候で、「図表22」とほぼ同形状の気温サイクルを示す。
 北海道から上富良野を含めた六地点、本州から九州で九地点のアメダス観測値の二〇二〇年平年値(平均・最高・最低気温)について、気温幅ごとの日数分布を示したのが「図表23」である。瀬戸内海の影響を受けて、特異な気候傾向が見られたため四国を除いた。
 観測点については、上富良野が海抜二二〇メートルなので同条件として二〇〇メートル前後の地点を選定した。海抜が二〇〇メートル前後になると、海岸から離れた内陸になり、上富良野と地勢が類似していて、比較に適している点もある。
 説明は省くが、一年の温度分布日数の違いが読み取れると思う。
 また、二〇二〇年平年値の降水量(図表24)と積雪量(図表25)の年間日数分布についても掲載するが、降水が積雪になるのかどうかは、気温だけではなく、シベリア気団の勢力、日本海から供給される水蒸気の量と背後山稜の有無が大きく影響しているようである。

掲載省略:図表23 平均・最低・最高気温平年値の分布日数(全国15地点)
掲載省略:図表24 降水量平年値の分布日数(全国15地点)
掲載省略:図表25 積雪平年値の分布日数(全国11地点)
三 平年値データの推移

 平年値は、三〇年間の気象観測結果の平均値から作成し、「例年より▽▽℃寒い」といった比較基準値にされている。上富良野においては、三回の基準値が作成されており、これを比較すれば最近五十年間程度の気象傾向が出ることになる。三回の平年値をグラフ上に示すと、データ数が多く却って見づらくなるため、二〇〇〇年平年値を基準に、二〇二〇年平準値の変動量をグラフにしたのが「図表26と27」である。上富良野では積雪観測が行われていないので、直近の富良野の積雪深観測値を使った。
 変化値のプラス側とマイナス側の合計と全部の合計値をグラフ上に示したが、気温・降水・積雪の総ての要素で大きくプラス側に変動しており、富良野地方でも「温暖化」の傾向が明確に出ているものと思われる。

掲載省略:図表26 上富良野2000を基準にした2020年平年値との比較増減(平均気温・最高気温・最低気温・降水量)
掲載省略:図表27 富良野2000を基準にした2020年積雪深平年値との比較増減
四 二〇二一年観測値

 ここまでは、平年値という統計的に処理された数値について検証したが、この項では直近の昨年二〇二一年一月から一二月までの毎日の観測値について、実際はどのような傾向だったのか、上富良野の二〇二〇年平年値からの気温増減差を示したのが「図表28」である。
 また、同様に上富良野の降水量について示したのが「図表29」、積雪深については富良野市の観測値を「図表30」に示す。
 この降水量と積雪深の平年値の注意すべき点について記しておく。気温は変動する値が連続するデータであるが、積雪深や降水量は値がない「〇(ゼロ)」を伴う不連続値を統計的に平均処理した結果、降水量平年値に降水量が〇の日はない。同様に積雪深については、初雪が根雪になることはほとんどなく、積もったり融けたりを繰り返しながら、いつの間にか融け切らないで根雪になるという経過を経る。このようなことから初積雪から最終積雪(雪解け)までの間に、無雪の日があっても前後の平均値が割り振られるため、積雪期間の毎日には〇の日はない。
 「図表29」と「図表30」の、マイナス側にあるものの中には、降雨・積雪がない日の比較の結果でマイナス値が示されたものが含まれている。

掲載省略:図表28 上富良野2021年日気温の平年値差(平均気温・最高気温・最低気温)
掲載省略:図表29 上富良野2021年日降水量平年値差
掲載省略:図表30 富良野2021年積雪深平年値差

 実際には、平年値からかなりの幅を持った観測値が得られていることが判ると思うが、二〇二一年の年間を総じて、気温は比較差合計が大きくプラス側であることから「かなり暖かい年」、降雨量差合計がやや大きくマイナス側にあることから「やや雨の少ない年」、積雪では少ないながらマイナス側にあって「積雪がわずかに少ない年」であったと振り返ることができる。
 平均気温の昨年一一〜一二月を見ると、プラス側にシフトしていること、一一〜一二月の積雪についてもほとんどマイナス側にあって、かなり暖かく積雪の少ない年の瀬であったことが振り返れる。
 過去の冬を振り返るきっかけに、一九七九年から二〇一九年の富良野アメダスにおける冬季ごとの最深積雪と積雪日数を「図表31」に示す。
 温暖化は、積雪が減少するというイメージになるが、雨や雪は供給される水蒸気の量に影響されることから、上川南部地域は石狩湾から留萌沖にかけた日本海において、温暖化による海水温の上昇が水蒸気の供給を増やしているのではなかろうか。

掲載省略:図表31 富良野アメダスにおける積雪観測結果
五 二〇二〇年平年値による推計

 2020年温度平年値(図表22)を、単純に一℃、二℃、三℃それぞれ加えた場合、設定した気温幅に所属する日数がどのように変化するのか試算した結果を、「図表32」に示す。
 一℃の変化でも、水と氷の境界点である〇℃前後の日数に影響が出ている。
 IPCC第5次報告書で出されている温暖化予測は「図表33」にあるとおりだが、グラフから二〇二〇年と二〇五〇年を見比べると対策を講じなかった場合で一℃程度、対策を講じても〇・五℃程度温暖化が進むと読み取れる。二一〇〇年までの長期予測では、二〇〇五年基準でブラス〇・五からプラス五・五と幅広く、対策の程度にもよるが予測の難しさがうかがえる。

掲載省略:図表32 温暖化による気温平年値の変化推計
掲載省略:図表33 世界平均地上気温の変化予測〜IPCC第5次報告書(2013)
  温暖化の影響は?
 IPCC報告書では地球規模の影響として、
  @ 気温・海水面の上昇
  A 氷や降雪量の減少
  B 降水量の変化
  C 野生生物の絶滅
また、生活の面からは、
  D 水・食糧不足
  E 健康被害
  F 経済格差
などがあげられているが、国内各地の平年値比較図表(図表23)とシュミレーション(図表32)を比較すると、北海道の現状気候傾向内に収まり、センセーショナルな報道にあるような、「気候の本州化」「絶滅する動植物の発生」などは心配ないようである。
 上富良野の基幹産業である農業においては、気温上昇によって無雪期間が延びることで、育成作物の品目に幅が拡がるかもしれない。
 新たな病害虫の侵入に警鐘を挙げる報道もあるが、真冬日(最高気温が氷点下の日)が変わらずに残りそうなので、この点も心配なさそうである。
 ただ、台風規模、降雨、降雪などの気象現象の極端化からは逃れられないようだ。世界的にもかつてない規模の気象災害が増えていることは明らかで、身近なところでは、今年二〇二二年一月中旬の全道各地、二月の札幌周辺の豪雪被害(JR等交通機関の麻痺、積雪による建物倒壊等)が思い浮かぶ。気象庁では温暖化との因果関係についてはコメントしていないが、ネット上では温暖化の影響を疑う評論が飛び交っている。
  おわりに

 この記事の動機について文頭に書いたが、子供の頃の気候に関する記憶の検証については、現在のデータと比較できる精度を持った一九六〇年代(私の小学から中学時代)の気象データが得られなかったためあきらめた。
 特に記憶にある積雪の多さについては、一九七九年から毎年の富良野積雪深の記録(図表31)を見て、思った以上の積雪量の変動があったことを知って、雪の多い年の記憶だったのかと納得した。
 宇宙の誕生から始まった文頭に、あきれた読者もおられると思う。私たちが住む地球環境には、変化を遂げてきた歴史があり、変化の原因と結果について、様々な研究者によって明らかにされてきた。
 これらのことによって、現在問題となっている「温室効果ガスの増加」と「気候温暖化」の基本的部分について、学校で教わったことを思い出してもらえたと思う。なお、図表03〜08の事変や地質の年代は、諸説の新旧や論拠により差異がある。子供が関心を寄せる恐竜の絶滅(惑星衝突)は、現在は六六〇〇万年前とするが、図表には過去の説六五〇〇万年前も混在している。
 疑心暗鬼のまま、入手した気象データを様々な形で整理・加工してみると、温暖化の傾向を見つけることができた。あくまでも傾向であって、変化する気象現象の中に呑み込まれる範囲内にあって、日々体感できるものではないことも理解できた。
 この記事を書くために様々調べてみると、現在出されている温暖化の予測は、次第に確実性を増しており、既に机上論から実践に踏み出して久しく、IPCCが主導する対策が、各国における政策に組み込まれていることが判った。
 たとえ影響は小さくても、個々人が温暖化の原因者であることを自覚したところだ。
《参考資料》

     クイズの答え

 〇℃の氷一sは、三三五ジュールの熱を一〇〇℃の水から奪い、融けて〇℃の水一sになります。
 一sの水の温度を一℃変化させるために四・二ジュール必要ですから、三三五ジュールは一sの水を八〇℃変化させます。
 すなわち、一〇〇℃の水は二〇℃まで下がるので、〇℃と二〇℃の一sづつの水を合わせると、一〇℃二sの水になります。
 答えは、「一〇℃二sの水」です。
◎参照WEBサイト
 NTT宇宙環境エネルギー研究所
 国立研究開発法人 国立環境研究所
 全国地球温暖化防止活動推進センター
 環境科学技術研究所
 国土交通省気象庁
 「高校地理をわかりやすく,そして楽しく!」
 京都大学地球科学研究室
 海洋研究開発機構(JAMSTEC)
 公益財団法人 日本分析センター
 理化学研究所
 NHK高校講座

◎「地球学入門」(酒井治孝著、東海大学出版社)
◎平年値2010・平年値2000データ(気象業務支援センター)
◎地球クライシス2021〜気候変動壊れゆく世界〜(BS朝日)
◎パーフェクトプラネット(4)「気象」(NHK)
◎北海道新聞社(新聞紙面記事)
◎IPCC第5次・第6次評価報告書概要

機関誌      郷土をさぐる(第39号)
2022年3月31日印刷      2022年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 中村有秀