=上富良野町郷土をさぐる会誌=
『第三十九号』の発刊について
上富良野町郷土をさぐる会 会長 中 村 有 秀
北海道で「新型コロナウイルス」が確認されたのは二〇二〇(令和二)年一月二十八日の「さっぽろ雪まつり」会場でした。
それから二年余りが過ぎましたが、新型コロナウイルス変異株の出現が相つぎ、現在は国内主軸のオミクロン株とこの派生株「BA・2」が猛威を振るっています。この変異株では、数えて第六波になる突出した感染拡大が起こり、山場は越えたようですが、道内でも派生株が確認されるなど、鎮静化の見通しは立っていません。
政府・道は、新型コロナウイルスの「まん延防止等の重点措置」の期限(令和四年三月六日まで)を、三月二十一日まで再延長しましたが、感染者数の減少傾向から、三月二十二日から全面解除しました。
北海道の重点措置期間が二ヶ月半に及び、医療・経済・観光・雇用、各種団体会議・集会や行事にと、あらゆる分野や道民生活に大きな影響を与え続けていますが、早期の収束まで重点施策を遵守しましょう。
このような環境の中で、第三十九号の編集に当たっては、会議の開催を含め人との接触に係わる作業は最小限に止め、取材・資料収集にも大変苦労しました。
郷土をさぐる会の総会も、令和二年度から令和四年度までの三年間は、郵送による「書面審議」にせざるを得ませんでした。
しかし、一方では明るいニュースが飛び込んで来ました。それは、令和四年一月二十八日付で「十勝岳(上富良野町・美瑛町)」が日本ジオパークに、新規認定されたことです。認定は、全道で六地域、全国で四十六地域となりました。
二〇一七(平成二九)年の初申請から五年の歳月を要しましたが、郷土をさぐる会も「十勝岳ジオパーク推進協議会」に参画していたので喜びもひとしおです。これからの活動にも、先進地域に学び、両町民の理解と根を張った事業に協力していきます。
三浦綾子記念文学館で、『上富良野開拓の汗と涙で綴られた特別展「大きな楡の木の下で」』が、令和三年六月四日から令和四年二月二十七日まで開催されました。郷土をさぐる会と町関係課も資料提供を行い、充実した特別展でしたが、新型コロナ禍で臨時休館日もあるなかで、町民対象に上富良野町教育委員会が主催、郷土をさぐる会が協力した『歴史探訪ツアー・三浦文学にふれる旅』を平成三年十一月二十六日に開催し、参加者からは驚嘆の声も上がって、上富良野町でも開催してはとの声も出ています。
三浦綾子著小説「泥流地帯」・「続泥流地帯」の映画化も新型コロナ禍で停滞しておりますが、映画化の推進に合わせて、出演者との交流、ロケセットの活用、特産物、お土産品やロケ弁当の開発など観光や産業振興に寄与しつつ、「泥流地帯」を通して三浦文学の神髄に触れていただきたいと願っています。
本年は、「三浦綾子さん」の生誕百年となり、その記念事業の一つとして「泥流地帯」などの六作品を横書き、漢字にルビを打って製本し、希望する学校等に配布する計画の資金造成に、「郷土をさぐる会」も応分の寄付をし、上富良野町内各小中学校への贈呈の申し込みをしました。配本は本年五月中の予定です。
第三十九号に掲載の、過ぐる戦争による「忠魂碑」と「招魂碑」についての記事校正中に、「ロシアがウクライナに侵攻」のニュースに接しました。戦争の悲惨さを記録に残すとの企画でしたが、今まさに「ウクライナ」での戦禍の報道を見るたびに、非常に胸が痛む日々です。話し合いの外交努力で早期の終結を心より願うばかりです。
上富良野町開基一二五年(令和四年)発刊予定の「かみふらの人物事典」は、新型コロナ禍で調査取材や編集会議ができず遅れていますが、コロナ禍の収束状況を見ながら作業を進めていきます。
このような状況の中ながら、「郷土をさぐる会誌 第三十九号」を発行することができました。
長年にわたってご協力を頂いております読者・賛助会員・会員・関係機関の皆様に心から感謝を申し上げると共に、今後とも皆様のご指導とご援助を賜りますようお願い申し上げます。
機関誌 郷土をさぐる(第39号)
2022年3月31日印刷 2022年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 中村有秀