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=上富良野町郷土をさぐる会誌=
『第三十六号』の発刊について

上富良野町郷土をさぐる会 会長 中 村 有 秀

  一九八〇(昭和五五)年一二月一六日に、上富良野町郷土をさぐる会が設立され、その翌年の一九八一(昭和五六)年、「上富良野町郷土をさぐる誌 第一号」を発刊し、今日まで号を重ねて来たことは、郷土史に深い理解をいただき執筆された皆々様、そして関係各位に心からお礼申し上げます。
 二〇一八(平成三〇)年は、漢字一文字「災」として表現されている様に、七月に「西日本豪雨災害」、九月六日発生した道内初の震度七を記録した「胆振東部地震」と、直後に発生した全道的な停電「ブラックアウト」で日常生活に大混乱が起きました。
 私達は、災害に対する認識と備えについて、再確認の重要性を肌に感じたところです。
 活火山 十勝岳の麓に住んできた先祖をはじめ私達は、三度の噴火活動期を体験しています。
  ●一九二六(大正一五)年 五月二四日の大噴火と泥流(死者行方不明 一四四名)
        〃      九月 八日の再噴火(死者行方不明 二名)
  ●一九六二(昭和三七)年 六月二九日の噴火(死者行方不明 五名、三六年ぶり)
  ●一九八八(昭和六三)年一二月一六日の噴火、二四日の再噴火を含め二一回の噴火(二六年ぶり)
 一九八八(昭和六三)年の噴火から三〇年を経た二〇一八(平成三〇)年に、北海道新聞は『十勝岳噴火三〇年』として特別の見出し題字により様々な角度からの取材記事は、十勝岳山麓に住む私達に再認識と備え、心構えの大切さを、尚一層思い起こさせました。
 その記事は、「泥流を教訓に防災」「観測で前兆をつかめる」「命懸けだった泥流監視 八八〜八九年の体験者ら証言」「十勝岳 進む泥流対策」「火の山と生きる―郷土の象徴 母なる山・被災体験を聞きダム設計・住民共助の防災体制」「火の山 共生の道―観光と防災・泥流に備え・学び伝える・移住者の目・ジオ再申請」が掲載されています。
 町内では、「読み聞かせ会ムーミン」の皆様が「十勝岳だいふんか 未来をつなげよう」との紙芝居の作成と絵本を出版。また、NPO法人環境ボランティア野山人の皆様がフットパスを通じて、開拓・災害・復興の歴史に関わる様々なコース設定と、資料等の作製に大変な準備を要したことが感じられます。上富良野高校の生徒有志による小説「泥流地帯」の朗読劇「いいこと ありますように」は、町民に大きな感動を与えてくれました。
 昨年は、松浦武四郎が「北海道」と命名してから一五〇年として、全道各地で行事が開催されましたが、当町では東中在住の彫刻家山谷圭司氏が代表を務める「トカチルゥチシ(峠)を歩く会」の皆様が、松浦武四郎の紀行文「十勝日誌」に基づき、旭川から新得までの一三〇キロメートルを、三月から四月にかかる四週の週末に分割して踏破しながら検証した結果、野帳と幕府への報告・十勝日誌とは各々異なることが判りました。
 上富良野町民の皆様が、それぞれの立場で研鑽し活動されて郷土史の一頁一頁を伝承されていることに感慨を受けました。
 本年は、「十勝岳ジオパーク」の認定と、三浦綾子著「小説 泥流地帯」の映画化についても、郷土をさぐる会としてもその実現に寄与していきます。
 上富良野町郷土をさぐる会誌の発行も第三十六号となり、永年に亘ってご指導とご支援を頂きました読者の皆様及び関係機関、会員・賛助会員、そして取材協力をいただいた各位に心から感謝を申し上げます。
 今後とも、本町の歴史・伝統・生活などを後世に伝承するよう務めて参りますので、尚一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。


機関誌      郷土をさぐる(第36号)
2019年3月31日印刷      2019年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 中村有秀