郷土をさぐる会トップページ     第27号目次

編集後記

編集委員長 野尻巳知雄

 私の父は昭和四十五年に七十二歳で他界した。私は今年誕生日を過ぎると七十三歳になり、父よりも一年多く長生きすることになる。今まで生きてきた七十三年の人生をふり返って、無事に今日まで生きてこられたことは、父母や先祖の深いご加護があったものと感謝する毎日である。これから後、何年生き続けることが出来るかはわからないが、残された人生を何かの形で社会に還元したいものと思いつつ、無策にすごしている現実を反省する毎日である。せめて、郷土をさぐる誌を皆さんの力をお借りしながら、何とか続けて行けるように努めたいと思っている。
 二十七号の表紙絵は、町内江幌に展示アトリエ「江幌小屋」を開いておられる佐藤喬氏のご厚意により、スケッチ画の中から「十勝岳旧白銀荘」の絵を使わせていただくことにしました。氏のご厚意に深く感謝申し上げます。
 ―各地で活躍している郷土の人たち―では、毎年の事ながら「東京上富会」の長谷部会長さんのご尽力により、横浜に在住している初代上富良野村長吉田貞次郎さんの孫に当たる清野彬氏を紹介していただき感謝の念でいっぱいである。清野氏からは「故郷に想いをよせて」と題して、故郷で過ごした思い出を寄稿していただいた。現在横浜のシルバー人材センターでご活躍されているとのこと、今後も健康で豊かな人生を重ねられることを願って、寄稿していただいた事に感謝を申し上げたい。
 十勝岳の爆発については、大正十五年と昭和三十七年の爆発が有名だが、今回は昭和三十七年の爆発について、当時白銀荘の管理人をされていた故和田宗只氏の原稿「白銀荘から見た噴火の状況」を、編集委員の三原康敬氏が編集し、掲載させていただくことができた。「災害は忘れた頃にやってくる」と言われているように、活火山を抱える上富良野町民のひとりとして、過去の災害を忘れることの無いように心がけねばと思っている。
 富原に住む大場惣蔵氏には、「祖父大場惣吉を語り継ぐ」の題で大場家の開拓からの歴史を書いていただいた。テーマは大場家のことであるが、内容を見ると決して大場家だけの問題ではなく、どこの家にも共通する開拓からの苦労の歴史であり、大場家が代表して記述された開拓の物語である。
 元編集委員をされていた佐藤輝雄氏には、これまでの松浦武四郎に関する研究の一端で、今回は「松浦三家の家紋」松浦武四郎の本家の家紋、武四郎の生家の家紋と、武四郎本人の家紋、という三家の家紋の共通点と違いについて記述していただいた。氏の松浦武四郎についての研究については、広く知られているところであるが、これからも何回かに分けて掲載していただけるものとご期待申し上げたい。
 大正十五年の十勝岳大爆発の惨事は、歴史に残る大災害であったが、その復興でも色々な記録が残されており、復興のために会議が開かれた「公職者協議会」で、俵に腰を掛けて会議が行われたことは有名な事実である。そのときに使われた「俵」について三原康敬氏が資料を集めて「公職者会議・第一回復興協議会(俵会議)の俵とは」と題して、その疑問を解いてくれている。
 岩崎治男氏の「東中神社の歴史」は、前回の号で掲載する予定であったが、都合により今回に延期させていただいた原稿である。
 東中地区は、全国各地から入植している地域のため、故郷につながりをもつ神社が多く祀られていたが、それらの神社の歴史について詳しく記述されている。
 「千望峠フットパスのオススメ」は、執筆者岡田三一氏が上富良野町で開かれた「全道フットパス大会」に参加した経験から、フットパスのコースが素晴らしい景観や自然が醸し出す起伏に富んだ地形が、町の隠れた観光資源としても充分活用の道が多いことを紹介してくれているもので、健康増進と自然とのふれあいに大いに参加することをお勧めしたい。
 小生の「ふらの原野開拓のあゆみ」は、明治三十年の最初の入植の状況や、富良野村の系譜について当時の戸籍その他の資料で紹介させていただいた。今後の参考になればと願っている。
 中村有秀氏の石碑が語る上富の歴史(その十五)は、「十勝岳中腹の泥流跡に建つ『岡本三男の碑』それに関わるさまざまな背景」と題し、建碑をめぐる関係者の記録や岡本三男に関する記録、家族の活動や白銀荘にまつわること、吹上温泉に関することなど多くの方々の協力をいただきながら執筆されている。
 最後に今回の二十七号の編集と出版に当たり、東京上富会、札幌上富会の方々や執筆のために資料を提供くださった多くの方々、編集委員と編集に協力いただいた土井義雄氏に深く感謝の意を申し上げたい。
 また、郷土の歴史に関心を持つ方々が年々減少しており、発行部数も減少せざるを得なくなってきています。郷土をさぐる誌が今後も続けられるよう一層のご協力をお願いし、編集後記にさせていただきます。 (野尻記)
連絡先
〒071―0541 空知郡上富良野町富町1丁目 上富良野町郷土館内
『かみふらの郷土をさぐる会事務局』 電話0167―45―3158番

皆様の投稿や、取材の情報・御意見をお待ちしております。

★在庫のお知らせ★
6号・7号(以上頒布価600円)、13号・14号・15号・16号・17号・18号・19号(以上頒布価800円)、21号・22号・23号・24号・25号・26号(頒布価1,000円)、上富良野志(明治42年発行の復刻版頒布価1,000円)の在庫が僅少ですがあります。
上富良野の歴史を伝える貴重な郷土史ですので、町外へ出ている親戚・知人・同級生の皆様に、お土産のつもりで贈ってはいかがでしょうか。お求めは、上富良野町公民館にてお願い申し上げます。

郷土をさぐる(第27号)
2010年3月31日印刷     2010年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 成田政一