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7章 現代の上富良野 第8節 学校統合と現代の教育

1115-1121p

2、校舎の増改築と施設整備

 

 上富良野町文教施設整備五カ年計画

 昭和38年以降、上富良野では5年ごとに「上富長野町文教施設整備五カ年計画」が立案された。昭和38〜42年の計画では、昭和38年度に清富小学校へき地集会室新築工事、上富良野小学校教員住宅新築工事、東中小・中学校教員住宅改築工事、昭和39年度に上富良野小学校便所新築工事、江幌小学校危険校舎改築工事と屋内体育館改築工事、上富良野高校土地買収、昭和40年度に創成小学校屋内体育館改築工事、上富良野高校校舎新築第1期工事、昭和41年度に上富良野小学校第一線校舎改装工事、上富良野中学校第二線校舎改装工事、昭和42年度に創成小学校危険校舎改装工事、江花小学校危険校舎改装工事、里仁小学校校舎改装工事がそれぞれ予定されていた(『昭和38年度教育委員会々議録』)。しかしこの時期は江幌中学校、日新中学校が統合され、創成小学校と江花小学校と上富良野小学校の一部児童により上富良野西小学校が開校するなど、学校統合のピークを迎え、統合に関わる校舎整備に急遽重点が置かれることとなり、この計画は大幅に変更された。

 その後昭和42年には、昭和42〜46年にかけての五カ年計画が町教育委員会で計画された。これによると昭和42年度には統合により開校される上富良野西小学校の校舎と教員住宅、江幌小学校の校舎、日新小学校の校舎、上富良野高校の屋内体育館、昭和43年度に上富良野西小学校の校舎と教員住宅と特別教室、上富良野町公民館、上富良野高校の特別教室、昭和44年度に上富良野西小学校の教員住宅と屋内体育館、上富良野高校の校舎、給食センター、昭和45年度に上富良野小学校の校舎、上富良野高校の教員住宅、昭和46年度に上富良野中学校の校舎、上富良野西小学校の教員住宅、江花分校の校舎改造が計画されていた(『昭和37年度以降町内学校統合関係』)。

 

 表7−70 歳入に占める教育費の割合(決算額) (単位:円)

年度

歳出

教育費

教育費の占める割合

昭和42

631,849,566

114,829,102

18.17%

43

710,503,872

119,054,693

16.76%

44

708,441,732

100,698,444

14.21%

45

905,730,598

135,380,277

14.95%

46

1,073,392,942

189,901,467

17.69%

47

1,163,783,880

130,337,807

11.20%

48

1,530,011,233

154,002,476

10.07%

49

2,092,965,773

165,373,151

7.90%

50

2,677,034,572

427,152,148

15.96%

51

2,796,489,574

461,523,583

16.50%

52

3,224,759,716

522,433,229

16.20%

53

3,497,633,441

288,142,239

8.24%

54

4,292,132,802

369,156,580

8.60%

55

4,541,405,264

502,238,039

11.06%

56

5,062,913,175

554,460,213

10.95%

57

5,390,773,842

824,406,989

15.29%

58

5,783,460,090

459,315,985

7.94%

59

5,720,704,591

564,288,600

9.86%

60

6,157,100,744

669,462,526

10.87%

61

6,322,383,728

745,239,075

11.79%

62

7,019,314,299

1,097,489,414

15.64%

63

7,411,006,193

316,662,627

4.27%

平成1

7,353,321,691

596,489,679

8.11%

2

8,511,003,312

635,333,033

7.46%

3

8,853,709,124

635,379,931

7.18%

4

9,435,076,010

698,263,089

7.40%

5

10,560,900,631

721,822,218

6.83%

6

10,585,938,086

640,405,048

6.05%

7

10,692,679,343

401,431,304

3.75%

8

10,431,498,335

394,786,792

3.78%

 

 上富良野小学校第三線校舎の改築

 昭和45年、上富良野小学校の第三線校舎の改築が始まった。同校舎は昭和30年代から既に改築の計画があったが、町財政の問題、児童数の問題、上富良野西小学校の開校などさまざまな問題により、約10年間果たせずにいた。工期は昭和45年度から2カ年で、総工費1億2,051万9,000円、昭和45年7月15日に起工式を行い、第1期工事は12月15日完成、翌46年4月15日には第2期工事が着工され、同年11月10日に完成した。

 建物は鉄筋コンクリート造の塔屋4階付地上3階建てで、普通教室9、特殊学級教室、プレイルーム、家庭科教室、理科室、図工室、ボイラー室、便所、渡り廊下、塔屋が建設され、スチーム暖房を採用し、耐震、防火、断熱等に気を配った近代的なものであった(『広報かみふらの』第152号、昭47・1)。

 その後同校では、昭和56年、第2音楽室にML機器が導入される一方、防衛施設庁の補助金による「防衛施設周辺の生活環境整備事業」の一環として、演習にともなう騒音の防止工事が昭和57年から行われた。昭和58年1月18日には総工費3億7,080万円をかけて第一線校舎新改築が完成し、同年10月1日には第二線校舎改築工事も完成した。昭和59年度には総工費2億円をかけて体育館が新築され、翌60年2月10日新築記念式典が開催された。平成3年11月15日には第三線校舎の防音工事も完了した。

 

 上富良野中学校の改築

 上富良野中学校の第二線校舎は、昭和23年の戦後の物資不足の際に建築された築20年余りの木造老朽校舎であり、「文教施設整備五カ年計画」では昭和41年度、昭和46年と2度にわたって改築が計画されたが、結局実施されなかった。その後昭和42年度から防衛施設庁補助金による「防衛施設周辺の生活環境整備事業」が開始され、その一環として昭和49年度の上富良野中学校の騒音防止対策事業が採択され、昭和50年6月1日着工した。翌51年3月1日には第1期工事が完了し、3年生が教室移動した。同年12月9日には第2期工事が検定され、昭和52年6月27日には第3期工事が着工された。第3期工事は同年10月20日に検定され、29日には開校30周年校舎落成記念式典が行われた。ちなみに総工費は約5億3,000万円で、全校舎温風暖房、水洗トイレが設置され、普通教室18、特殊学級室、図書室、音楽室、視聴覚教室などの特別教室、作法室、生徒会室、三元放送を取り入れた放送スタジオや、さらに英語教育の充実のためのLL教室も設置された(『広報かみふらの』第193号、昭50・5)。昭和53年4月には約4,700万円を投じて、視聴覚室やLL教室に近代的教育機器が導入され、全校にカラーテレビも設置された(『広報かみふらの』第227号、昭53・3)。その後昭和56年には同校体育館の騒音防止対策工事も行われている。

 

 写真 完成した上富良野中学校

  ※ 掲載省略

 

 東中中学校の改築

 東中中学校では、昭和44年に生徒玄関の修理、46年に音楽室土台上げと廊下補修、塗装、集合煙突や窓枠の塗装、49年に特別教室の修理、営繕など小規模な工事が行われていたが、昭和51年度の防衛予算補助で騒音防止対策工事が単年度で計画された。翌52年6月には全面改築に着工、12月に完成した。総工費は1億6,482万8,000円で、全校舎温風暖房、水洗トイレを設置し、普通教室3、図書室、音楽室、生徒会室、教育相談室などの特別教室、校長室、職員室、保健室など近代的設備の整った校舎が完成し、その落成記念をかねた開校30周年記念式典が昭和53年1月21日に挙行された(『広報かみふらの』第226号、昭53・2)。また昭和60年6月19日には講堂の改築工事も着工され、翌61年1月30日には落成記念式典が開催された。

 

 写真 改築中の東中中学校

  ※ 掲載省略

 

 東中小学校の改築

 東中小学校でも統合の可能性がなくなった昭和41年4月1日、移動改築により管理部門、特別教室、普通教室や理科室を完備し、昭和48年には校舎改修により保健室が新設されたが、所詮昭和26年に建設された木造校舎では老朽も著しく、自衛隊演習の騒音被害も受けていた。そこで住民の要望もあり、昭和55年度には「防衛施設周辺整備騒音防止事業」として全面改築が計画された。同年7月5日には起工式が行われ、翌56年1月16日完成した。総工費は2億5,700万円、校舎は鉄筋コンクリート2階建てで防音構造が施され、全校舎温風暖房、水洗トイレが設置され、普通教室6、図書室、音楽室、図工室、家庭科室、児童会室、理科室などの特別教室のほか、校長室、職員室、保健室なども完備した(『広報かみふらの』第254号、昭55・7)。

 昭和56年2月8日には開校80周年と校舎落成を祝う記念式典が同校体育館で開催された。

 また平成4年には講堂の改築も行われ、12月25日に落成し、翌5年1月24日開校90周年と講堂落成記念式典が行われた。

 

 江幌小学校の新築

 江幌小学校は、小規模校として何度か統合の可能性もあったが、同校が「学校教育の場」とともに「生涯学習の場」として活用され、地域の振興発展に重要な役割を果たすことが期待されていたことから存続し、平成元年7月には新築工事が行われた。建物は鉄筋コンクリート1階建で、教室はオープン化され、合同、分散の柔軟性のある学習ができるよう工夫され、教育の開放性と開かれた授業、学校を目指すものとなっている。また教室の横には多目的スペースが設置され、図書コーナー、パソコンコーナー、プレイルーム、広場として活用できるようになっている。さらに講堂は、ステージの収納が可能で、校舎と講堂の間に校庭を組み込み、全景は講堂を中心に校舎を4分の1円形に配置している(『広報かみふらの』第363号、平1・8)。

 総工費は2億5,500万円で、平成2年2月25日には開校80周年とともに校舎落成記念式典が開催された。

 

 写真 新築された江幌小学校

  ※ 掲載省略

 

 清富小学校の新築

 小規模校である清富小学校でも、昭和53年8月20日には職員室や教材室の増改築が完了し、59年9月20日にも校長室やトイレの増改築が行われていたが、全面的な校舎の改築には至らなかった。その後平成3年5月23日からは、演習による騒音測定など校舎改築のための基礎調査が開始され、翌4年10月20日にも地質調査や基礎設計、現地測量などが行われた。平成5年7月1日には旧校舎を解体して新築工事が着工され、平成6年1月29日開校60周年とともに校舎落成記念式典が行われた。

 

 写真 新築された清富小学校

  ※ 掲載省略

 

 学校環境の整備

 一方各校では、校舎だけでなく校庭や前庭、児童が休み時間に遊ぶ道具などの整備も行われた。

 清富小学校では、昭和39年につくられた遊園地体育施設に46年遊具が設置された。

 東中小学校では、昭和53年にグランドの築山が作られ、56年にはテニスコートと前庭その他の環境整備、翌57年にはアスレチックの新設と東屋の設置、昭和60〜61年にかけてグランド周辺の植樹が行われた。

 日新小学校では42年にブランコやシーソー、廻旋塔が設置され、46年には縁石の花壇や低鉄棒、廻旋塔支柱の取り替え、バックネット設置、52年には防護柵や遊動円木、雲梯[うんてい]が取り付けられた。

 江幌小学校では昭和43年につつじの植樹と校地整備が行われ、昭和51年にはブランコ設置、56年にはグランド土砂流入防止施設を整備した。

 上富良野西小学校では昭和52年に花壇、グランドの整備、屋外時計や投光器が取り付けられ、54年には前庭舗装工事やグランド芝生造成転圧工事が行われた。

 上富良野中学校でも昭和52年に環境整備事業として、前庭の舗装やテニスコート、自転車置場、中庭パーゴラ工事が行われ、翌53年にグランド改修工事、62年にグランド芝張りと屋外トイレの設置がなされた。

 またプール、テレビ施設、図書室、暖房設備なども整備された。

 特にプールは各校の開校記念事業として設置されることが多く、東中小学校では昭和44年に開校70周年記念事業の一つとして防衛施設周辺整備事業の一環で設置され、長さ25b、幅16b、水深1.4b、最低1.2bで循環式濾過装置付きのものができあがった。同年7月21日には同校体育館で記念式典が行われた(『広報かみふらの』第122号、昭44・8)。

 一方江幌小学校でも昭和45年に開校60周年記念事業としてプールが設置された。こちらは総工費138万円で鉄骨、ビニール造り、長さ10b、幅6b、深さ1.2bの深さで小規模なものであったが、ビニールシートを取り替えれば将来はさらに大きくできるようになっていた。設置には農作業を休んだ地区の全員が2日間かけて労力奉仕をした。7月18日には開校60周年記念式とともにプールの完工式も行われた(『広報かみふらの』第133号、昭45・7)。

 上富良野西小学校でも昭和45年にプールが設置されている。

 また上富良野小学校では昭和47年に町民プールが設置され、昭和40年代に各小学校でプール施設はほぼ整った。ただし昭和46年に設置された清富小学校のプールも、5b×10bの簡易プールであった(『広報かみふらの』第146号、昭46・10)。

 

 コンピューターの導入

 一方平成2年度には、文部省が平成6年度までの5カ年をめどに、情報化に対応する教育の円滑な実施のため、公立小、中、普通科高等学校、特殊教育諸学校に教育用パーソナルコンピューターを整備することになった。これに対応し、上富良野では平成元年度に町教育研究会にパソコン準備委員会が設置され、パソコンの導入・活用に関する研究がなされた(平成2年度『上富良野の教育』)。また、平成元年10月23日に江幌小学校に1台、翌2年2月25日にも同校に2台、平成3年10月23日に上富良野小学校、上富良野西小学校、東中小学校、清富小学校に各1台、31日に東中中学校に10台、平成4年10月19日に上富良野中学校に21台、平成5年12月30日に清富小学校に2台、平成6年11月24日に上富良野小学校、上富良野西小学校、東中小学校に各3台ずつのパソコンが導入された。