十勝岳で発生する恐れのある火山災害

噴石

噴火に伴って火口からふき飛ばされる噴出物で、時には火口から数q程度まで飛散することがあります。落下の衝撃で死傷したり、家屋・車・道路などが被害を受けることがあります。

火山灰

火山灰は粒径が小さいほど風によって火口から遠くまで、時には数十qから数百qまで運ばれ広域に降下、堆積します。火山灰の被害は広域かつ長期にわたることがあります。人体には呼吸器系などの障害のほか、農作物の被害、水質汚濁、鉄道・道路の不通、航行中の航空機のエンジントラブルなど、広く社会に影響します。

溶岩流

マグマが火口から噴出して地表を流れ下るものです。流下速度は地形や溶岩の温度・組成により異なりますが、比較的ゆっくり流れるので一般的には避難は可能です。溶岩流は高温のため、その流路は、建物、道路、農耕地、森林、集落を焼失、埋没させて完全に不毛の地と化します。

火砕流・火砕サージ

火山灰や岩塊、火山ガス等が一体となって急速に山体を流下する現象です。火砕流の速度は時速数qから数百q、温度は数百℃にも達し、大規模な場合は地形の起伏にかかわらず広範囲に広がり、森林や家などを埋没、破壊、焼失させ、破壊力が大きく、極めて恐ろしい火山現象です。火砕サージは、より気体に飛んだ流れで高温の爆風ともいえるものです。

火山泥流

岩石や土砂が水と混合して一体となって流下する現象で、時速数qに達し谷沿いに遠方まで到達する大変危険な火山現象です。火山泥流には、火山活動により直接引き起こされる一次泥流と、火山活動に関係なく発生する二次泥流があり、道路、構造物、農耕地などに大きな被害を与えます。

火山ガス

火山から発生する気体で、通常大部分(95%以上)は水蒸気です。二酸化炭素のほか、硫化水素(卵の腐った臭いが特徴)や亜硫酸ガス(刺激臭を伴う)など人体に有害な物質が含まれることもあります。

山体崩壊・岩屑なだれ

火山噴火や地震動によって山体斜面が大規模に崩壊し(山体崩壊)、その岩石や土砂などが流動化し高速度で流下する現象を岩屑なだれと呼びます。セントへレンズ山(米国)では、1980年に大規模な山体崩壊が起き、岩屑なだれは高速で山腹を流れ下って、谷を埋め、50名以上の死者を出しました。