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学校の統廃合シリーズ(三)
江花小学校時代の周りの環境と生活

昭和二十八年江花小学校入学  札幌市 加藤 隆

 同期の人達は一九四六年、昭和二十一年四月〜二十二年三月生まれ(もう六十年近く前)で、当時、私達は戦後の大変な時期とは知らずして、大人の人には無理なお願いをして生きて来た年代でした。当時のことは忘れたことも多いので、私一人では記憶が定かでなく、同級生始め皆さんにご協力をいただきながら、少し昔の状況を思い出すことにします。
  通学風景と遊び
 私の自宅は江花小学校の背後の山を越えた所にあり、小学校へは林の中を通いました。冬は道路が無くなるのでスキーを使いましたが、スキー靴なんて言うのは買えない(小学低学年時代は無かったかも)時代なので、ほとんどの生徒は長靴でスキーを履き通った記憶があります。また、吹雪の時は授業が早く終業し、集団下校は時々ありました。
 夏から秋は山ぶどう、山いちご、こくわ、ぐすべり、かりんずを探して、近所の家とか山をさまよい夏秋を味わい、おやつ代わりとして遊びました。子供の頃はお腹が特に空くので、母はかぼちゃとじゃがいもをおやつ代わりとして、いつも煮てありました。
 今考えてみますと、「こんなおやつしか無い」なんて思ったりしておりましたが、大人になり当時の都会生活(特に東京の人の話では食べ物も無い生活らしく大変だったとのこと)を思うと、食べることには苦労しなかっただけ幸せだったんだと、後からつくづく思いました。甘いおやつは無かったので、当時、父母が何処からか手に入れたさつまいもが、特に美味しかった記憶がいまだに残っています。むろんバナナは運動会だけの高級な食べ物でした。
 夏の外遊びには男はパッチ、釘差し、女の子はケンケン他、室内ではトランプ、カルタ取り、女の子はあやとり、糸取りなんてのが遊びの主だったと思いますが、同期の人たちはほとんどの人はお手伝いが多く、遊んでばかりはいられない時代の中で、さまざまな工夫をしながらの遊びは本当に面白かった記憶として思い出します。

掲載省略:「当時の授業風景」
  当時の家庭生活
 電気は、同級生からは入学前はランプの生活だったと聞きましたが、私はランプで生活した記憶は残っておらず(停電の時はランプ)、小学生時代は電球の灯りがあったので、灯りにはあまり問題無かったのではと思います。
 しかし、夏の暑い時は今みたいにクーラーの無い時代でしたので、暑くてなかなか寝付かれないのと、窓は開けっ放しでしたので蚊とかハエが多いので、カヤと言うものの中で寝てましたので、より一層暑く、寝付かれなかった日々を思い起こします。
 また、冬は石炭ストーブが暖房の主役でした。ストーブの周りは暑いのですが、部屋全体はなかなか暖まらないので、なるべくストーブの周りで過ごし、寝ると布団は息で白くなっていたことも多々あったのが記憶にあります。
 テレビも無い時代でしたので、ラジオが楽しみの一つで、当時は相撲実況での千代の山、鏡里の取り組みが楽しみの一つで、他に浪曲とか漫才も楽しみの一つでした。テレビは、近所の家で三年生位の時に見れるようになったので、レスリングが面白く(当時、力道山が全盛期の時)近所に見せてもらいに行った記憶があります。
 我が家の水は、家の裏に井戸を堀ってあり、家まで十メートル位の距離でしたので水には苦労はあまりしなかったのですが、他の人は家の側に水の無い家が多々あったようで、同期の人からは水汲みの苦労を聞かされました。むろん風呂は五右衛門風呂でしたので、今、銭湯に行きますと五右衛門風呂がある所がありますので、なつかしく入ってます。
  思い出の学校行事
 小学校の思い出で、あまり思い出したくないことは、花畑や桜の木の下肥として、五、六年生が担当した学校の便所からのし尿運びがあり、強烈な臭気に耐えながらの悲惨な記憶です。
 又、石炭ストーブの焚き付け用の焚き木取りは四、五、六年生の担当で、近所の山から背負って運びました。つらい一面もありましたが、教室での授業に比べると、楽しかった思い出です。
 学校に脱脂粉乳が配給になった記憶があり(何時から何時までかは記憶が定かではない)、また学校であずきを栽培して草取りから収穫まで行い、秋には学校でおしるこを食べたことが懐かしいです。
 今、江花小学校(現在の江花会館)近くに立ち寄りますと、道路もこんな所まで舗装になっているとか、当時の雑林も現在はカラマツ林となり景観が様変わりしましたが、江花小学校側から見た十勝岳の連峰と大雪山の風景は変わらず、改めて素晴らしい景観で育ったんだとつくづく思っています。
 今私は、各地の景色を見て歩くのが楽しみの一つですが、その中でも江花から見た連峰景観の素晴らしさを、改めて感じている所です。

掲載省略:写真「第49回昭和34年3月 私の卒業記念集合写真」
  終わりに
 札幌市及び近郊に住む上富良野出身者でつくる「札幌上富良野会」の総会と懇親会が、毎年十一月に開催されており、都合がつく限り参加を楽しみにしております。
 昨年(平成二十六年)十一月の札幌上富良野会総会の折り、来賓として参加していた郷土をさぐる会の編集者から、江花小学校の在学中の思い出を書いてほしいという依頼を受けた際、記憶が定かではないと固辞しましたが、結果として断り切れず、同期生や知人に協力をいただき、なんとかまとめることができました。ご協力いただいた方には、深くお礼申しあげます。

機関誌      郷土をさぐる(第32号)
2015年3月31日印刷      2015年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 中村 有秀