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「上富良野で見たオーロラ」

大森金男 昭和七年四月一日生(八十一歳)

 郷土をさぐる誌に、私がオーロラを見た情景の体験を記録に残したい。
 私の頭部の血管はすでに萎縮してきている。その脳裏から昔のことを引き出すため目をつぶり想像すると、それは約六十年前のあの美しい大空と雄大な十勝岳連峰だ。「十勝岳から富良野岳の(裾野)麓近くまで」緑の中に黄み色が従に、主に緑色、裾野は赤色、高さはどの位あったのか、超特大のカーテンでも下げたようだった。
 あちこちの裾の色も高さも全く揃っていない、虹の厚みのあるものとは異なる。
それは、富原地区北二十三号を斜線道路に向かう途中の幸せな人生の一齣(ひとこま)であった。上富良野駅より南側の食糧事務所に到着した頃は、オーロラの美しさは減衰し消えてしまっていた。

《注》 参考、北海道の真ん中「富良野は東経百四十二度十六分、北緯四十三度二十四分、陸地の中で、それも昼間に現れたのは極、珍しい現象なのか」これまではノンフイクションです。
 
十勝管内陸別でオーロラ観測のチャンス
 陸別町の銀河の森天文台の上出洋介館長(名古屋大名誉教授)は、『太陽の条件が整っている陸別でオーロラが観測される可能性が高まっている』と話している。
 上出洋介館長は北大卒。オーロラの研究では世界的権威として知られている。オーロラは太陽から出るプラズマの流れである「太陽風」が地球の超高層圏の原子と衝突して発光する現象である。
オーロラ世界各地で
 米アラスカ州キナイで現れたオーロラ、太陽表面の巨大な爆発現象「太陽フレア」で放出された電離ガス(プラズマ)などによる太陽嵐が地球に到達し幻想的な色を放ってオーロラが観測された。
赤いオーロラ
 「郷土をさぐる会」の三原康敬さんの資料によると、昭和三十三年二月十一日に、大規模であり広範囲で天候が良く、北海道をはじめ東北、中部、関東の各地で観られた、日本海の北方海上の空に赤く輝く異常現象を発見し、「火事ではないか」と海上保安部が大騒ぎとなった。
 当時の朝日新聞ジュニア版に掲載された高校生によるスケッチによれば、最盛期には赤やオレンジの光に黄色い帯状の模様(光の柱)を認め、はっきりしなかったがカーテンのような感じに見えたとある。
 この光の色彩に関しては、光の柱が本来持っている青色と緑色の光と背景の赤色の光とが混合したことによる「白気」とはこの色彩のこと。ここで赤や緑・青の発光はオーロラを代表する色である。赤色は低緯度オーロラの主役である。

掲載省略:写真「上富良野十勝岳連峰のオーロラではありません。下部の方は赤色だった。(合成写真です)」

 磁気緯度の低い日本においても磁気嵐の際、かなり頻繁に低緯度オーロラが起きており、これまでそれが非常にまれな現象として考えられてきたのは、単に光の強さが弱くて肉眼で見えない為であることが解ってきた。

機関誌      郷土をさぐる(第31号)
2014年3月31日印刷      2014年4月1日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 成田政一