郷土をさぐる会トップページ     第20号目次

編集後記

早いもので、昭和五十五年に郷土をさぐる会が結成されてから今年で二十五周年をむかえることになり、上富良野の郷土誌「郷土をさぐる」も会結成の翌年に創刊号を発刊して、今回第二十号をお届けすることになりました。
この間、「郷土をさぐる会」を支えてくださった正会員、そして会の運営にご協力くださった賛助会員の皆様の温かいご理解とご支援に心より感謝申上げます。
また、編集委員の方々についても、途中で不幸にもお亡くなりになったりご高齢でお辞めになった人、そしてまた新しい編集委員に加入されて活躍される人など、多くの変遷がありました。二十五年の歳月の中では常に古老の意見を尊重しながら、郷土の歴史を後世に伝えようと、真摯に努力を重ねてこられた歴代の先輩編集委員の方々に、心から敬意を表したいと思います。
私どもも先輩編集委員の意思を受け継ぎ、正会員や賛助会員の皆様と共に、今後も二十一号・二十二号と、「郷土をさぐる」誌を継続して発刊する事に努力を傾注して行きたいと思います。
記念となる二十号の編集については、昭和十八年に熊谷一郎氏が毛筆で執筆された「上富良野村史」の取扱いが中心となりましたが、協議の結果「上富良野村史」の主な内容については、昭和三十八年発行の「上富良野町史」と、平成十年発行の「上富良野百年史」の中に記載されており、また一部内容に誤りがあることから、「上富良野村史」は歴史上の貴重な記念品として、原稿のままコピーして製本復刻することに決まりました。
二十号の表紙は記念号として、町内日の出に展示アトリエを開いておられる後藤純男画伯のご好意により、画伯の画かれた「十勝岳連峰」の絵を使わせて貰うことで了解をいただきました。
記念特集として、永く編集に携わっていただいた先輩諸氏に執筆をお願いしたところ、多くの先輩の方々はご高齢と体調不良により、原稿をいただくことが出来ませんでしたが、ただ一人勝井 勇氏から「我が人生悔い無し」の執筆をいただきました。
また、初代上富良野村長をつとめられた吉田貞次郎氏の次女清野ていさんと、三女安井弥生さんから父貞次郎の思い出として「離れがたき我がふるさと」「泥流地帯と父のこと」の原稿をいただきました。
シリーズ企画の『各地で活躍している郷土の人達』では、北海道警察で活躍された薮下 守氏から「郷里と警察の関わり」について、また現在も北海道貨物自動車業界で活躍されている穴山正信氏からは「私の座右の銘」について、そして道庁を退職後、札幌静修学院事務長として活躍されている久保勝美氏からは「札幌上富会と私」と題して夫々原稿が寄せられました。
町内の歴史記述については、金子隆一氏が「富良野沿線初めての商店幾久屋物語」として、岩田賀平氏は前号に続き「来し方九十年思いつくままに」の(下)を、水谷甚四郎氏は「愛馬の追憶」について、遠藤博三氏からは…藤吉の日記から…の連載(その三)で「此日、余は」の中から、昭和十四年から昭和三十一年までの日記を掲載しました。また「吹上温泉の変遷」は連載最終号になり、吹上温泉の株式会社解散と経営者の変更、戦争による解体作業までの歴史を記載しています。
二十号は節目になるので、恒例により一号から十九号までの目次を載せましたが、番号の少ない号数では歴史も古くなって、執筆された多くの方々がすでに他界されておりました。このことを考えると二十五年という歴史の重さを感ずるとともに、私たちも一日一日をもっと大切にして、充実したものにしなければとつくづく考えさせられます。
野尻 記

機関誌 郷土をさぐる(第20号)
2003年3月31日印刷 2003年4月15日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 菅野 稔