郷土をさぐる会トップページ     第16号目次

新会長就任挨拶

菅野 稔 大正十四年九月十七日生(七十三歳)

一昨年、郷土上富良野は開基百年を迎え、盛大に記念式典が行われて町民挙げて祝ったところであります。
しかし、この百年の歳月には、苛酷なまでの苦難を強いられた開拓の人達、更に開拓途上に於ける十勝岳の大爆発がありました。この大災害で、百四十四名(上富良野は百三十七名)の尊い命を失い乍らも、それに屈せず復興にと、まさに、筆舌に尽せぬ茨の道を歩んで来た人達を思わずには居られません。
併し、平和で何一つ不自由のない生活の中では、先人の苦労もつい忘れ去られてしまうのではないでしょうか。これを憂うる有志の方々が集って、この尊い足跡を後世に永く伝え残さんと、郷土をさぐる会を結成されました。
昭和五十六年に本誌第一号が発刊されて以来、毎年継続で昨年第十五号が発刊されました。この第十五号は開基百年の協賛事業として取組み「かみふらの事始め物語」として、開拓当時の事は勿論、衣食住・産業・行政等万般に亘っての調査、聞きとりと、編集委員一丸となって取組んだものであります。この成果が、三百七十頁にも及ぶ記念すべき発刊となり、読者の皆様にお届けできたことを、喜びとともに省みているところであります。
只一つ心に残ることは、編集委員長として活躍されました高橋七郎氏が、第十五号誌編集半ばにして、逝去されたことであります。氏は郷土をさぐる誌には第二号から幹事及び編集委員として携ると共に、自ら原稿を書き、挿絵を書いていただき、また第十三号からは編集委員長としてご尽力下さいました。第十五号の表紙絵は氏の絵を使用しましたが、長い間のご協力に心からお礼を申上げご冥福をお祈り致します。
此の度平成四年の第十二号発刊から第二代会長として、会の指導と発展に精魂をかたむけて、ご尽力下されました高橋寅吉氏が、高齢を理由に辞任される事になりました。
ここに会員一同、高橋会長の郷土愛の情熱と指導に敬意を申上げ、永年の業績を讃えたいと存じます。同氏には今後も会の顧問として在籍していただき、不肖私が第三代会長という大役をお受けする事になりました。
当初はその器でないとして強く固辞しましたが、皆様の厚い推挙に、この会の為にお手伝いする事が今自分の為すべき仕事、また与えられた責任と考え、お引き受けいたしました。歴代会長の意志を受け継いで、精一杯努力する決意でございます。賛助会員、読者の皆様に、今後一層のご理解とご協力を賜りますよう心からお願い致します。
今回第十六号誌の発刊については、昨年十月三十日の総会以来、短い期間の中で発刊する事が出来ました事は、会員皆様のご協力と、編集にあたられた委員皆様の並々ならぬご協力の賜と、感謝に堪えません。
終りになりましたが、ご多用な中で本誌にご寄稿下さいました皆様に、心からのお礼を申上げまして御挨拶といたします。

機関誌 郷土をさぐる(第16号)
1999年3月31日印刷  1999年4月15日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 菅野 稔