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野菜

農業機械の大型化と技術の進歩により、今日では作物の作付体系が大きく変わって来た。また気候も変化し、一ケ月位は暖かさがのびて来て居るような気がする。戦前は夏作七割秋作三割と言った作付体系と言われていたが、現在では甜菜、馬鈴薯、麦類、豆類と言った畑作根幹作物が、大面積作付され機械化されて来ているが、その間隙を縫う形で、キャベツ、大根、ブロッコリー、白菜などの野菜がある程度取り入れられて来た。こうした野菜類は労力の関係もあり、面積もある程度制限される面はあるが、農家所得向上の為に取り上げられて来た意義は大きい。

先ずキャベツだが、昭和五十年後半から作付されるようになった。昭和六十一年五十二名の耕作者が野菜部会を組織し、十三・四ヘクタールの面積から農作物としてのキャベツ生産は始まった。
農協も昭和五十九年に野菜集出荷施設を建設し、受け入れ出荷に対応すると同時に、道内一のキャベツ生産地を形成すべく、百ヘクタール耕作を目指し積極的に奨励に乗り出して来た。
当初金系二〇一号と言う品種が導入され、非常に柔かく美味しいキャベツだったが軟腐病に弱く、その防除には大変気を使ったものである。その後らん春、アーリーボール等に品種も変り、大型、小型の苗移植機も導入され、面積も順調にのび耕作者も増えて来ている。
春一番に植えて七月末か八月上旬に採取し、その跡すぐに移植し二回収穫する方法や、秋蒔小麦の跡作として収穫する方法などが取り入れられてきた。
現在川口利幸を部会長に一〇七名の会員が八十五ヘクタールの耕作をしている。
キャベツと共に大根も作付され始めて来た。大根は重粘土系の土壌ではどうしても形が悪くなる傾向があり、更に干ばつの影響を受けやすい。また、抜取りに当たっては重いことと、折れる可能性もあり、あらゆる面に細心の注意が必要である。田中正人を中心に三十余名の耕作者が部会を組織し三十ヘクタール余の作付をし八万六千九百余ケースを出荷している。
農協も人参選果場の横に大根の専用洗場を平成四年に新設し洗浄出荷をしている。
ブロッコリーは徐々に作付が増え現在八ヘクタール程度、農協の予冷施設を活用しながら出荷されている。農家個々の面積は三十から五十アール程度であるが、今後収穫時期をずらした作付方法などにより、面積も増えていくのではないかと思う。
白菜については個人的に作付されて居るが、根こぶ線虫の被害も各所に見られ、春の低温障害による抽たいなどの問題もあり、大面積の耕作はあまりないようだ。
増え続ける輸入農産物は野菜の分野迄及んでいるようだが、生産過程における有機栽培や減農薬農法などに留意し、品質、鮮度に気を配り、消費者に喜んで迎えられる生産地として、生き残る為の努力を続けてほしいと思う。
(安部彦市記)

機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉