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村内に役場ができ戸長が就任

村民の強い要望がかなって明治三十二年六月戸長役場の設置が決まり、初代戸長松下高道が任命されたが、庁舎がまだなく仮庁舎を西一線北二六号の民家を借用し二名の筆生で業務が開始されたこと町史にある。
このことを古老の金子全一氏は「この年三月、父が草分で店を始めた年だが、仮庁舎が在った事を聞いたことはない、役場はいしずえの松の処に在ったのが始めての庁舎と思っていた」と言う。その庁舎は、同年五月一六日付の当時の北海道毎日新聞で富良野村役場庁舎入札の公告があり、再度七月四日付でも出されたことを見ると、不調で再入札をしてこの年に落成したものと思われる。
この庁舎の規模や工事費などは道庁が施工管理していたので不明であるが、明治三十九年四月、二級町村制が実施されたことにより道庁から富良野村に移管された引継書によると次のとおりである。
所在地 富良野村字富良野原野基線二十五号
一 戸長役場建物一棟  木造柾葺 建坪三三坪
一 外厠    一棟          五合
一 掲示場       木造柾葺   一ケ所
一 井戸屋形             一ケ所
一 門         木造     一ケ所
一 垣矢来       木造     九〇間
 右同所
一 戸長役場敷地        一、七四二坪
その後の庁舎の経過を辿ると、翌三十三年に会議などの場所が手挟となり、道路向(現大町一丁目二番五号千秋幸二宅の処)に柾葺木造平屋建の会議場が設けられた。
大正八年四月一日一級村施行を期し、これまでの狭溢で不備だった役場に代る新設庁舎を総工事費一万八、八〇〇円で、階上を村会議場兼諸会合の会場として総坪数一一四坪四合の規模で完成した。
昭和四十二年六月旧庁舎より約三〇〇米余南になる大町二丁目二番十一号に移設新築したのが現上富良野町総合庁舎である。規模は地下一階、地上三階建鉄筋コンクリート造り、総工費一億二、五一〇万円で、工期は四十一年六月着工して一ケ年を要して完成し、開基七〇周年記念事業として落成を祝った。
協力者 金子全一・黒田孫吉(久保栄司・村岡八郎記)

機関誌 郷土をさぐる(第15号)
1998年3月31日印刷 1998年3月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉