郷土をさぐる会トップページ     第14号目次

編集後記

第十四号は十編の内容にて皆様にお届けする事になりました。各々に特色のある掲載内容になったと思います。
『各地で活躍している郷土の人達』シリーズは、現在は北海道総務部参事で、宗谷支庁長・北海道自治研修所長を歴任された花輸洋一氏に依頼を致しました。花輪洋一氏は平成七年十月三日、七十九歳にて逝去された御母堂花輸あさ子さんの思慕と衝撃が大きく「母の思い出」を書かして戴きたい旨の申し出があり掲載する事にしました。夫を戦場に送り家業と留守を守る母の姿、幼い子供心の思いが……戦中戦後の多くの家庭で苦しい体験がありました。
『冬の十勝岳』は浄土真宗大谷派第二十四世法主と御裏方が昭和十四年一月に来村し、厳寒の十勝岳登頂を行ったと明憲寺の寺歴に記してありましたが、その時の紀行文があり、また本として出版されていたとは全く知りませんでした。
大谷智子御裏方の著作集『光華抄』の提供をいただいた専誠寺住職増田修一師に厚く御礼申し上げます。また、写真については明憲寺住職近藤義信師、故笠原重郎氏ご遺族のご協力に感謝いたします。山案内をされた笠原重郎氏は平成八年一月十九日に急逝されました。当時の模様を早く聞いて記録しておくべきであったと残念で悔まれます。
畠山 司氏の『サッポロビールと上富良野』は上富良野ホップ第三代作業所長としての十五年間の思い出と『上富良野とホップ』の歴史を記していただき、第五代所長の谷越晴夫氏が本紙第六号に掲載した『ホップの由来と栽培歴史』と共に、ホップ園として永長にわたって町民に親しまれて来た歴史が記録とし遺された事が大きな感動です。そして人と人との出合いを淡々と述べられて、畠山氏の人柄が伝わって来ました。
『上富良野町のアイヌ語地名解釈再考』は、佐藤輝雄氏が心血を注いだともいうべき、学術的にも高く評価される研究論文です。
本誌第十一〜十三号に連載した『ガキの頃の思い出と昭和十一年頃の街並み』の内容を読まれている読者の皆様も、佐藤輝雄氏の史実を克明に調査し解き明かす姿勢とその努力に感嘆される事と思います。
濱 巌氏の『開拓回顧一周年友への便り』は、東京の友人への手紙形式で当時の思い出を記したものです。この文章は岩田賀平氏保管の書類から発見されました。濱先生の北海道農業への大きな夢が語られ、又農業一年生の苦闘と喜びが記されるとと共に、現在の農業情勢を示唆する背景を適確に分析されているのに驚くばかりです。
私達の住む『かみふらの』も平成九年に開基百年を迎えます。濱 巌氏の奥さんである濱歳子さん作の『いしずえ百年夢元年とびだせ未来』がテーマになって開基百年行事の準備が進められています。
郷土をさぐる会も、百年の歴史の中でまだまだ多くの事柄を伝承して行かなければならないと思います。
第十五号は『開基百年記念特集号』と考えていますので皆様の意見、要望等をぜひお寄せ下さい。

機関誌 郷土をさぐる(第14号)
1996年7月31日印刷  1996年7月31日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉