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《故・遠藤金吾先生を偲ぶ》
清富小第一回卒業生が語る「青年団長遠藤金吾先生」

三浦イツ子(旧姓倉谷) (昭和十年卒業生)
大正十一年七月一日生(七十二歳)

私が清富へ移住して来た時、清富には学校は無く日新迄の通学でした。
昭和九年十二月に特別教授場が出来、遠藤先生御夫妻が着任され、通学が容易になり楽しい勉強が出来る様になったのでしたが、私は六年生だったので在学期間は短く、僅か四ケ月程で、第一回の卒業生として卒業しました。
卒業記念に梅の木を戴き、大変嬉しかった思い出があります。
卒業後、冬期間は奥様に和裁を習いに通い、若き日の楽しかったことが多々有り、又青年団活動では団長さんが遠藤先生だったので、学校中心に四季それぞれの行事に張切って参加し、楽しい時も多々ありました。中でも強く記憶に残って居るのは、昭和十九年十二月、大日本青年団から選ばれて上川支庁主催の、軍人援護常会が開かれ、その講評で「優良」と言われたことでした。此の山の中の青年団が日本中から選ばれた事でも吃驚(びっくり)したのに、「優良」と講評されたのにほんとうに感激しました。
又これに続いて二十年一月十六日には「村の決戦生活を語る」という座談会の状況を、NHK旭川放送局から全国放送されることになりましたが、私達はその頃、マイクロフォンの実物を見たことも無い田舎者でしたので大変緊張しました。
何もかも団長さんの遠藤先生を頼りに、励まされたり、時には叱られたりしながら練習を何回も繰り返して本番に臨みました。
どうやら首尾良く終った時には、皆で顔を見合せて喜び合いました。
この様な二度とないことを体験することが出来たのも遠藤先生の熱心な御指導を戴いたお蔭と思って居ります。
私も清富に移住して六十余年、年齢七十歳を越えました。部落の方々の御厚情を賜わり乍ら生きて来ましたが、振り返って見ると、遠藤先生の励ましの言葉に支えられた事も数多く、感謝しております。
その先生が、あの様に早く他界されたことは、本当に残念でたまりませんでした。
今年は先生の五十回忌に当ります。只々御冥福をお祈りするばかりです。

機関誌 郷土をさぐる(第13号)
1995年6月25日印刷  1995年6月30日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 高橋寅吉