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7章 現代の上富良野 第4節 自衛隊と上富良野

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3、現状と今後

 

 町と自衛隊

 町の経済基盤は、農畜林業・商工業・自衛隊という三本柱で支えられている。なかでも駐屯地は「産業構造の3分の1以上を占める」までに至っていると菅野學町長が平成7年の町政執行方針の中で述べているように(『広報かみふらの』431号)、基地の存在は町の発展に大きな役割を果たしてきた。しかし他方では、演習場は町の面積の13.7lを占め、全道各地の部隊が演習していることにより、その結果として、騒音や振動、植栽や地形の変化による保水力の低下、雨水出水・土砂流失による河川の氾濫などが、農畜林業・自然環境や生活環境に影響を与えるという問題も起きている。

 

 自衛隊との共存

 さて63年3月、町は『まちづくりに関する町民アンケート調査』を実施した。その中で将来像については、「観光地としての発展」を挙げる者が24lで最も多かったが、「新しい産業の発展」(17.4l)と「農業が一層発展」(17.2l)を押さえて、自衛隊との共存を挙げる者が第2位を占めており(21.4l)、駐屯地に対する町民の期待の大きさを知ることができる。このアンケートの結果は、町が作成した『上富良野町総合計画』に反映された。その中で「協調の中で快適環境をつくる」ことを今後のテーマとして設定し、演習場対策として、@砂防ダムの建設や河川改修などの防災対策、A水源対策の促進、B水源涵養のための場内緑化などの施策の必要性と、民生安定対策事業として、(a)公共施設の防音工事の推進、(b)道路・上下水道・共同利用施設などの生活環境施設を今後の整備事項として取り上げている。

 従って町と駐屯地との一層の協力関係が求められてきているといえよう。そこで町は、基地対策については、企画課企画係が企画業務の一環として担当するという体制を改め、平成6年に企画課内に基地調整室を設置して、駐屯地関係を一括して取り扱えるように組織を整え、緊密な関係の確立をめざすこととした。