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1章 上富良野町の自然と環境 第1節 上富良野の自然地理 3-5p

2 河川と水系

 

河川の分布

上富良野町内を流れる河川はいずれも石狩川水系に属し、石狩川の支流の空知川(1次支流)のさらに支流である富良野川(2次支流)と、そのさらに高次の支流が流れている(図1−1参照)。

なお、奈江川(2次支流)の支流である二線沢川と三線沢川の上流もわずかに上富良野町内に含まれる。国土保全上または国民経済上とくに重要な河川で、河川法第4条の規定により建設大臣が指定したものを1級河川と言い、上富良野を流れる河川の中では平成8年現在、富良野川、ベベルイ川、ヌッカクシ富良野川、デボツナイ川、ホロベツナイ川、コルコニウシュベツ川、江幌完別川、エバナマエホロカンベツ川、トラシエホロカンベツ川、ヨシトミ川、ピリカフラヌイ川、湧水の沢川の21河川が指定されている。なお、1級河川以外で公共の利害に重要な関係があるものとして、河川法第5条の規定により都道府県知事が指定したものを2級河川、また河川法第100条の規定により市町村長が指定したものを準用河川と呼ぶが、上富良野を流れる河川で、平成8年現在これらに該当するものはない。1級河川以外の川は、いずれも普通河川という扱いになっている。

町の中央部では、1級河川の富良野川が東から南西へ流れている。富良野川はフリコ沢(前十勝岳と三段山の中間)に水源を発し、流域面積373.9平方`b(山地部222.5平方`、平地部151.4平方`)、流路延長40.2`bを流れる。上流では山麓の台地を侵食しながら西流し、上富良野市街地の北で向きを変えて富良野盆地西縁を南下し、富良野市北東部の学田で空知川に合流している。富良野川からは17の支流(3次支流)が延びており、そのうちの主要な河川であるベベルイ川、江幌完別川、ピリカフラヌイ川からは、さらに多くの支流群が発達している。

町の南部では、ベベルイ川の支流(4次支流)であるヌッカクシ富良野川が、デポツナイ川、旭野川、ホロベツナイ川などの支流(5次支流)を集めて流れている。ヌッカクシ富良野川は富良野市の東学田付近でベベルイ川に合流し、ベベルイ川はその直ぐ下流で富良野川に合流している。

 

河川の流量と水系模様

上富良野町が実施した主要な河川の流量調査結果によると、富良野川上流で平均2トン/秒、富良野川中流では平均4.5トン/秒、ベベルイ川中流では平均3.1トン/秒、ヌッカクシ富良野川上流では1.5トン/秒、中流では2トン/秒、デボツナイ川中流で0.9トン/秒、江幌完別川中流で1.5トン/秒、ホロベツナイ川中流で0.45トン/秒などとなっている。また、各河川のpH値は概ね5〜7の値で中性〜弱酸性を示すが、富良野川とヌッカクシ富良野川の上流においては、夏季になると水中の硫黄含有率がかなり増加するため、3〜4と著しい酸性を示す河川になる。両河川が十勝岳から運んでくる硫黄の年間総量は、6000トンを上回ると見積られている。

河川の流路をよく見ると、溶結凝灰岩の火砕流台地を各河川がかなりの距離に渡って平行に刻むように走っている。台地を開析する谷は直線的で急な谷底斜面を伴うものがほとんどである。このような特徴は、水系模様の分類に照らし合わせてみると、平行状水系に当てはまり、火山山麓の斜面に発達する典型的な水系模様を示す。

 

 

 

 

1−1 上富良野町河川一覧

 

流域面積と流路延長は町域外も含む。*印を付したものは一級河川(平成8年5月現在)。括弧内の河川は町外を流れるものを示す。

出典北海道土木部河川課『北海道河川一覧』(平7)