日新小回顧録…その4 十勝岳抄
白魚火・アカシヤ同人 田浦 夢泉
十勝嶺の雲より兆す初茜
火の山の霧の申より韻きけり
雪渓に硫黄の匂ひふふみたる
渓流の這松しかと緑もつ
ラベンダー咲きて火の山涼しかり
火の山に雨雲根づき稲の出穂
夕冷えの炎えいろのこす噴火煙
火の山に凍ての彩なす大入日
吹き晴れて火の連山に来る寒波
火の山に星座の凍てて動かざる日新ダム
貯水面拡げしダムや雪解光
万緑にダムの底鳴り溜めて昏る
日輪に昂りもなくダム涸るる
機関誌 郷土をさぐる(第2号)
1982年 6月10日印刷 1982年 6月30日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 金子全一