郷土をさぐる会トップページ     第01号目次

発刊にあたって

郷土をさぐる会々長 金子 全一

豊かに稔る水田、なだらかな丘の続く畑に植えられた、色々な作物、朝夕姿を変える秀峰十勝岳、当地に生まれた者、或は永く住んだ人達は、誰でも限りない愛着を感じない人はいないでしょう。
しかし、これ迄に到る八十余年の歳月には、苛酷なまでの苦難を強いられた開拓の人達、百四十四名の尊い命を奪った十勝岳の爆発等、筆紙に尽くせぬいばらの道を歩んできた人々を思わずにはいられません。
このような方々の苦しい思い出を、今にして書き残しておかなくては、やがて消え去ってしまうことでしょう。
それを憂うる人達が集って、郷土をさぐる会を結成しました。
先に厄年の人達が「かみふ物語」を刊行して喜ばれたこともあり、会員の方々は色々手分けして、原稿を書いて頂いたり、記録を集めたり、録音をとったりして、ようやく第一回の機関誌「郷土をさぐる」の発刊の運びとなりました。
ぜひ、町民の方々の御愛読を賜り、先人の御苦労や、逸話を偲んでいただきたいと思います。
更に今後も、二回、三回と発刊を続けていく所存でございますので、何卒、皆様からも、古老より聞いた話、御自身の体験、たとえ断片的なことでも結構です。是非御投書下さい。そして、このささやかな機関誌が、皆様に親しまれ、先人の苦労を偲ぶ一助ともなれば、幸と存じます。


祝辞

上富良野町長 和田 松ヱ門

このたび「郷土をさぐる」が有志の皆さんによって、刊行されたことは誠に慶びに堪えないところであります。
明治三十年、わが町に開拓の鍬が下ろされてから、明治、大正、昭和の三世代に亘り八十四年の歳月が流れました。
開拓当時血と汗を流された先人の大方は、故人となられ今は三世、四世の時代となりました。
この「郷土をさぐる」の小冊史によって、先人の労苦と、わが町発展の裏面を知ることが出来る開拓秘話でもあり、開拓秘録として、永く子孫に伝え、保存したいものであります。
戦後、日本経済の成長とともに、社会情勢と国民生活は一変して、戦前の面影は何処にも見ることが出来ません。
この小冊史により昔を偲び、思い出を懐かしむことの出来ることは、誠に有難いことであります。
 「古きを故ねて新しきを知る」のとおり、永く座右の銘として愛読されることを希って、発刊のお祝いの辞といたします。


昭和五十六年十月  発刊を祝う

上富良野町教育委員会 教育長 平塚  武

私達の郷土「かみふらの」に開拓の鍬がおろされたのは明治三十年で、当時は機械力も無く資材も充分でない時代に、一鍬一鍬づつ耕して開墾し、幾多の困難を克服しながら開拓を進め今日の発展を見ることが出来たことは、先人のたゆまぬ努力が実ったものであり、私達が常日頃忘れてはならないことであります。
急速な近代化のために、ともすれば忘れがちなこれら先人の努力の足跡を、今回、「郷土をさぐる会」の皆さん方の手によって掘り起こされ、貴い資料として残される事になりましたことは同慶に堪えません。
「温故知新」ということばがありますが、この機関誌が先人のあゆみを学び知り、現在と未来の指針となるようご期待申し上げ、お祝いの言葉と致します。






機関誌 郷土をさぐる(第1号)
1981年 9月23日印刷  1981年10月10日発行
編集・発行者 上富良野町郷土をさぐる会 会長 金子全一